医療コラム

水虫になったら恥ずかしい?正しく知って、きちんと治すためには

「水虫になるのは汚い人だけ」——そう思っている方もいるかもしれませんが、それは大きな誤解です。水虫(白癬)は、清潔にしていても感染します。

日本の夏は高温多湿で、裸足になる機会が非常に多い環境です。海水浴、プール、温泉など、白癬菌が潜みやすい場所に接する機会は、どなたにでも日常的にあります。

なってしまったとしても、それは不潔だからではありません。どうぞ恥ずかしがらずに、皮膚科専門クリニックに早めにご相談ください。

本コラムでは、水虫の正しい知識と当院での取り組みをご紹介します。

目次

水虫=「不潔」ではありません

水虫(白癬)の原因である白癬菌は、清潔にしていても感染します。感染リスクは清潔かどうかではなく、菌に触れた後、どれだけ早く洗い流せるかにかかっています。白癬菌が皮膚に付着してから24時間以内に洗い落とせれば感染は防げますが、それ以上放置すると皮膚の角質層に入り込み、水虫として発症してしまいます。

特に日本の夏は高温多湿で、裸足になる場面が多く、感染のリスクが高まります。海水浴、プール、温泉・銭湯の脱衣場、旅館の畳の上など、白癬菌が潜みやすい場所は日常の中にたくさんあります。なってしまったことは不潔さとは関係ありません。重要なのは、なった後にどう対処するかです。

市販薬で自己治療——うまくいかないことが多い理由

ドラッグストアには多くの水虫向け市販薬が並んでいますが、注意が必要です。「かゆみを止める」成分として麻酔薬や抗ヒスタミン薬が含まれた製品も多くありますが、水虫の治療に麻酔は必要ありません。それどころか、そういった余分な成分がかぶれ(接触性皮膚炎)を引き起こすことがあり、症状が悪化したと思い込んでしまうことがあります。

また、市販薬を使っても「治った」と感じたところで塗るのをやめてしまうと、皮膚の奥に残った菌が再び増殖し、再発することがほとんどです。水虫を根治するには、正しい薬を、正しい方法で、必要な期間使い続けることが欠かせません。自己治療に限界を感じたら、ぜひ皮膚科専門医にご相談ください。

実は診断が難しい——だからこそ皮膚科専門医へ

水虫はありふれた病気ではありますが、白癬菌を正確に診断することは決して簡単ではありません。確定診断には顕微鏡による菌の確認(直接鏡検)が必要ですが、採取する場所や方法を誤ると偽陰性(本当は感染しているのに陰性と出てしまうこと)になることもあり、皮膚科専門医でも診断に苦慮するケースがあります

特に皮膚科を標榜していても、内科・形成外科などがメインの医師が診察しているクリニックでは、正確な診断が難しい場合があります。「別のクリニックで水虫の薬をもらって塗り続けたが一向に治らない」と当院にご来院される患者様も多く、中にはそもそも水虫ではなかったというケースも少なくありません。水虫かどうかの判断は、皮膚科専門医による正確な診察が必須です。

当院の水虫・爪水虫治療について

水虫に似た別の病気——見た目だけでは判断できない

足の皮膚トラブルのすべてが水虫というわけではありません。以下のような疾患が水虫と間違えられることが多くあります。

  • 掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう):手のひらや足の裏に膿疱(小さな膿のたまり)が繰り返しできる炎症性の皮膚疾患です。原因は菌ではなく、扁桃炎・金属アレルギー・喫煙などが誘因となりますが、いまだ完全には解明されていません。
  • 汗疱(かんぽう):手足の指や裏に小さな水ぶくれができる状態で、金属アレルギーやストレスなど複数の要因が関与するとされています。かゆみを伴うこともあり、水虫と間違えられやすいです。

これらは水虫の薬を使っても改善しないばかりか、悪化することもあります。「なかなか治らない」「市販薬を使っても変化がない」という場合は、ぜひ一度、皮膚科専門医による正確な鑑別診断を受けることをおすすめします。

塗り方も治療のうち——当院の取り組み

正しい薬が処方されていても、塗り方が不十分だと治りにくくなります。外用薬は患部だけに塗るのではなく、足全体(かかとや足の裏全体、指の間を含む)に薄く丁寧に広げることが重要です。また、症状が目に見えて消えた後も、菌が皮膚の角質に残っている可能性があるため、一定期間は塗り続ける必要があります。

当院では、薬の処方だけで終わらず、看護師が直接患者様に塗り方の指導を行っています。「どこまで塗ればいいか」「いつまで続ければいいか」「どのタイミングで塗るのがよいか」といった具体的なアドバイスをお伝えすることで、より確実な治療を目指しています。こうした丁寧なフォローが、治療の成否を左右することも少なくありません。

爪の水虫(爪白癬)は内服薬が基本

足の爪が白く濁ったり、分厚くなったり、もろくなったりしている場合、爪白癬(爪の水虫)の可能性があります。爪は塗り薬が浸透しにくい構造をしているため、内服薬(飲み薬)による治療が基本となります。

「薬を飲んで治すの?」と驚かれる方もいますが、内服薬は飲むだけで治療が完結するため患者様の負担が少なく、外用薬に比べて治療期間が比較的短くすみます。当院では爪水虫の治療にも力を入れており、適切な内服薬の選択、定期的な血液検査(肝機能確認)を含む経過観察を丁寧に行っています。爪の見た目が気になっている方は、ぜひ一度ご相談ください。

水虫を放置すると…

水虫はかゆみや見た目の悩みだけにとどまらず、放置することでさまざまな問題が生じます。

  • 人にうつす:白癬菌はバスマットやスリッパを通じて家族にも感染します。特にご家族に糖尿病や免疫低下のある方がいる場合、重症化リスクがあります。
  • 爪白癬に進行する:足の皮膚から爪へと菌が広がり、治りにくい爪白癬になることがあります。
  • においの原因になる:足の蒸れと菌の繁殖が相まって、不快なにおいの原因となることがあります。

「たかが水虫」と思わず、適切に治療することが、ご自身の快適さだけでなく、周りの方への配慮にもつながります。

まとめ——積極的な治療と予防のすすめ

水虫は、清潔にしていてもなりうる、ありふれた感染症です。しかし、「ありふれている」からこそ自己判断で対処しがちで、治療が長引いたり、再発を繰り返したりするケースが後を絶ちません。

正確な診断適切な治療正しい塗り方の指導——この3つが揃って初めて、水虫は根治できます。「なかなか治らない」「水虫かどうか分からない」「爪が気になる」といったお悩みをお持ちの方は、ぜひお気軽に海老名皮フ科クリニックにご相談ください。皮膚科専門医が、丁寧な診断と治療でしっかりとサポートいたします。

(執筆者情報)

小谷 和弘

日本皮膚科学会 皮膚科専門医

厚生労働省指定 麻酔科標榜医

日本内科学会 認定内科医

皮膚科・小児皮膚科・美容皮膚科・アレルギー科

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