ピコレーザーの仕組みと
ピコシュアの特徴
目次
INDEX
シミ取り治療の基礎知識
BASIC KNOWLEDGE
シミの種類
SPOTS TYPES
「ピコレーザー」という言葉は、シミ治療を調べれば必ず目にする言葉でしょう。ピコレーザーとはどんなレーザーで、なぜ注目されているのでしょうか?仕組みから照射モードの使い分け、当院が使用する機器「ピコシュア」の特徴と選んだ理由まで、皮膚科専門医の視点で丁寧に解説します。
- 日本皮膚科学会認定皮膚科専門医
- 厚生労働省指定麻酔科標榜医
- 日本内科学会認定内科医
しました
目次
INDEX
ピコレーザーとは
ピコ秒単位で照射できる
レーザー機器の総称
ピコレーザーは、特定の機器の名前ではありません。ピコ秒(1兆分の1秒)という極めて短いパルス幅(時間)のレーザーを照射できるレーザー機器の総称です。ピコシュア、PicoWayなど、複数のメーカーからさまざまな機種が販売されています。シミ治療に使われるレーザーのパルス幅は、マイクロ秒(1/100万秒)→ナノ秒(1/10億秒)→ピコ秒(1/1兆秒)と、技術の進歩とともに短縮されてきました。
パルス幅ってなに?
そもそもレーザーとは、「特定の波長に揃えられた光」のこと。光を途切れなく照射し続ける「連続波」と、短時間の光を単発・もしくは連発して照射する「パルス波」の2つの方式があります。シミ取り治療や医療脱毛など、美容領域で良く使われるのはパルス波です。
パルス波を1発照射する際の、「光が照射されている時間」を「パルス幅」と呼びます。グラフの時間軸上でパルスが「横の幅」として現れることからこう呼ばれています。
シミ取りレーザーの仕組み
レーザーの光には、特定の「色」にだけ吸収される性質があります。シミ取りレーザーは、肌の正常な組織には反応せず、黒色や茶色のメラニン色素にだけ反応する特殊な波長を使用します。
レーザーがシミを破壊する流れ
照射時間(パルス幅)によって
シミの破壊の仕方が変わる
光を照射する時間(パルス幅)が変わると、シミを破壊する仕組み自体が少し変わります。
ナノレーザー(Qスイッチ)の場合
吸収されたレーザーは熱エネルギーに変換され、シミ(メラニン)を熱して破壊します。これはフォトサーマル効果(光熱効果)と呼ばれます。
ピコレーザーの場合
メラニンは極めて短い時間でレーザーを吸収しますが、エネルギーを外に逃げがす暇がないため、内側から一気に膨らんで、衝撃(強い振動・音の波)と共に破裂します。これはフォトメカニカル効果(光音響効果)と呼ばれます。
破壊方法の違いによって
施術後の経過が変わる
どちらのレーザーも「特定の波長を吸収させメラニンを破壊する」という根本原理は同じです。しかし破壊の仕方が異なることから、施術後の経過や効果にいくつか差が現れます。
ピコレーザーは、
かさぶたになりにくくテープ不要
ナノレーザーの場合どうしても、メラニンだけでなく周辺組織にも熱が伝わり炎症を起こします。そのためかさぶたになりやすく、施術後はテープなどでの保護が必要になります。
ピコレーザーは、周辺組織を傷つけることなくメラニンだけを破壊できます。そのためかさぶたにはならず、薄い膜のようになることが多いです。ほとんどの場合、テープなどの保護も不要です。
ピコレーザーは排出も速い
どちらのレーザーでも、破壊されたメラニンはターンオーバー(表皮の入れ替わり)やマクロファージ(免疫細胞によって回収されリンパに流される)によって体外に排出されます。
ターンオーバーによる排出に大きな違いはありませんが、マクロファージによる排出はピコレーザーの方が効率的に働きます。破壊されたメラニンの粒子の大きさが異なるからです。
もしメラニンが岩だとしたら、ナノレーザーはメラニンを高熱で焼き、小石程度まで砕くものです。ピコレーザーは、衝撃波を利用して砂レベルまで粉砕します。より細かい方が、マクロファージしやすいのです。
マクロファージがメラニンを貪食
ナノレーザーは、分厚く濃いシミも
少ない回数で破壊できる
表面が盛り上がったような厚いシミや、非常に色の濃いシミの場合、衝撃波で散らすピコレーザーよりも、熱でしっかり焼き切るナノレーザーの方が効率良くシミを除去できる場合があります。
パルス幅(照射時間)が長いため、メラニンにしっかり「熱」を溜め込むことができるからです。
多少ダメージがあっても、分厚く濃いシミを少ない回数で一気に取りたい場合は、ナノレーザーの方が効果的です。
ピコレーザーの
3つの照射モード
ピコレーザーには、ハンドピース(照射部品)の種類とフルエンス(エネルギー密度)の組み合わせによって、大きく3つの照射モードがあります。どのモードを使うかは「シミの種類」と「治療の目的」によって変わります。
3つの照射方法の違い
ピコスポット
| 照射方法 | 小径ハンドピースでシミに局所集中照射 |
|---|---|
| フルエンス | 高 |
| 対象となるシミ | 老人性色素斑・そばかす・ADMなど |
| ダウンタイム | 薄い膜ができる |
小さなハンドピースでシミの部分だけに高いエネルギーを集中して照射し、メラニンを直接破壊・除去するモードです。施術後は薄い膜のようになり、1〜2週間かけてターンオーバーとともに剥がれ落ちます。肝斑や炎症後色素沈着(PIH)のような、熱・刺激に敏感なシミに対してスポット照射を行うと、かえって濃くなる可能性があります。照射前の正確な診断が必須です。
ピコトーニング
| 照射方法 | 大径ハンドピースで顔全体に均一照射 |
|---|---|
| フルエンス | 低 |
| 対象となるシミ | 肝斑・くすみ・色むら |
| ダウンタイム | ほぼなし |
顔全体に低いエネルギーを均一に、何パスにもわたって照射するモードです。メラニンを少しずつ穏やかに減らしていくアプローチのため、かさぶたにはならず、ダウンタイムはほぼありません。
ただし、濃い老人性色素斑やADMを直接除去する力はありません。このような濃いシミには、スポット照射など別のアプローチが必要です。
ピコフラクショナル
(Focus Lens Array)
| 照射方法 | FLAレンズで点状に収束して照射 |
|---|---|
| フルエンス | 中〜高 |
| 対象となるシミ | くすみ・毛穴・肌質改善・色素除去と真皮再生 |
| ダウンタイム | ほぼ無し |
フラクショナル照射は、シミ(メラニン)を直接ターゲットにする治療ではありません。レーザーを使って肌に微細な「刺激」を与え、肌自身の修復力・再生力を引き出すことを目的とした照射モードです。
「Focus Lens Array(FLA)」という特殊なレンズをハンドピースに装着して照射します。レンズを通ったレーザー光は無数の点状に収束して皮膚に当たり、表皮内部に微細な空胞(LIOB)を形成します。これが肌の修復スイッチとなり、コラーゲンとエラスチンの産生が促されます。
ピコフラクショナルは表面の皮膚をほとんど傷つけません。高エネルギーが当たるのは照射面積の約10%の点状部分のみで、残り90%の肌への影響はほぼありません。過度の赤みがなければ、施術直後からメイクも可能です。
3つの照射モードを
組み合わせることも可能
当院のピコレーザー
ピコシュア
ピコシュアとは
ピコシュア(PicoSure®)は、米国Cynosure(サイノシュアー)社が開発した、世界で初めて商業化された、最も多くのクリニックで使用されているピコレーザーです。
| 波長 | 755nm |
|---|---|
| パルス幅 | 550~900ps |
| 繰り返し照射間隔 | 最大10Hz |
| ハンドピースサイズ | ズーム式:2.0~6.0mm 固定式:6mm,8mm,10mm |
| 最大エネルギー密度 | 6.37J/cm2 |
| 承認番号 | 30200BZX00153000 |
| 販売名 | 皮膚良性色素性疾患治療用レーザー装置 PicoSure |
当院がピコシュアを選ぶ理由①
アレキサンドライトの
ピコレーザーのスタンダード
シミ取りレーザーは、特定の波長の光が特定の色素にだけ吸収される性質を利用してシミを破壊します。
皮膚に含まれる色素で代表的なのはメラニン(シミの原因)とヘモグロビン(血液の色素)の2つです。シミを治療するレーザーに求められるのは「メラニンにはよく反応し、ヘモグロビンにはなるべく反応しない」波長です。ヘモグロビンへの反応が強いと、血管へのダメージや出血・炎症のリスクが高まるからです。
この条件を満たす波長帯として知られているのが、ルビー(694nm)・アレキサンドライト(755nm)・Nd:YAG(1064nm)の3つです。
ルビー(694nm)
この3つの中でメラニンとヘモグロビンの反応差が最も大きく、シミ治療において理想的な波長とされるのがルビーです。しかし、ルビーレーザーをピコ秒で照射する技術は、現時点では実用化されていません。ルビーはQスイッチ(ナノ秒)での照射にとどまっています。
アレキサンドライト(755nm)
ルビーに次ぐメラニン選択性を持ちながら、ピコ秒照射が実用化されている波長です。「ピコ秒照射」と「高いメラニン選択性」を両立できる、とてもバランスの良い波長と言えます。
Nd:YAG(1064nm)
ピコ秒照射が可能ですが、メラニンとヘモグロビンの反応差がアレキサンドライトより小さく、血管へのリスクが相対的に高い波長です。ただし皮膚の深部まで届く透過性の高さから、深いところにある色素(深在性のADMやタトゥーなど)の治療には有効です。
ピコ秒レーザーは現在、複数のメーカーからさまざまな機種が販売されています。しかしその多くはNd:YAG(1064nm)を使用しており、アレキサンドライト(755nm)のピコレーザーはピコシュアシリーズのみです。
ピコシュアは、少ないリスクでピコ照射が可能な、シミ治療のスタンダードと言える機械です。
当院がピコシュアを選ぶ理由②
厚労省・FDA双方の
承認を受けている
ピコシュアは、アレキサンドライトのピコ秒レーザーとして、日本の厚生労働省とアメリカのFDA、双方から色素性病変(シミ)治療の承認を受けている唯一の機器です。
有効性と安全性について公的機関による審査を通過しているという点も、ピコシュアを選択する理由の1つです。
厚労省(日本)
承認番号:30500BZX00079000
販売名:PicoSure Pro ピコセカンドレーザー
添付文書(PDF):https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/kikiDetail/ResultDataSetPDF/300748_30500BZX00079000_A_01_03
FDA(米国)
510(k)番号:K143105
デバイス名:ピコシュアワークステーション
認可通知・概要資料(PDF):https://www.accessdata.fda.gov/scripts/cdrh/cfdocs/cfpmn/pmn.cfm?ID=K143105
当院のシミ治療
ピコトリートメント
ピコレーザーは万能ではありません。種類によって適切な照射モードが異なり、間違ったモードで照射すると、効果が得られないだけでなく、シミが濃くなるリスクがあります。
だから当院では、次のステップでシミを治療を行います。
診断
皮膚科専門医が肌の状態を詳しく診察。どの種類のシミがどこにあるかを見極めます。
整肌(トーニング)
顔全体にトーニングを照射し、肝斑を消しながら肌のベースを整えます。この段階で残ったシミの種類が判断しやすくなります。
粉砕(スポット)
整肌後に残ったシミにスポットを照射。表層のシミは浅く、深いシミ(ADM)には深く照射し、的確に消していきます。
こうすることで、ほとんどのシミを、リスクを最小限に抑えながら丸ごと消すことができるのです。
詳しくは、「ピコトリートメント」をご確認ください。
ピコトリートメントへ
まずは初診と
シミ診断へ
医師があなたのシミを診断し、適切な治療をご案内します。施術枠に空きがある場合は、カウンセリングの当日に施術も可能なので、すでにご希望の治療が決まっている方もまずはご相談ください。
(初診の保険診察料、約1,000~1,500円が必要です)
受付時間 9:45〜13:00 / 14:45〜18:30 日祝休診
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男性のシミのお悩み、増えています。女性のシミとはちょっと違う、特徴・注意点をお伝えします。
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シミ治療の基礎知識
施術前の注意事項
日焼けを避けてください
施術前2週間は日焼けをしないようにしてください。過度な日焼けは、炎症後色素沈着のリスクを高めます。
一部のスキンケアを中止してください
レチノイン酸・ハイドロキノンなどの刺激の強い外用薬は、施術3〜5日前から使用を中止してください。
メイクはしてきていただいて構いません
施術前にクレンジングを行いますので、メイクをしたままご来院いただけます。
施術後の注意事項
施術後、痛みが継続する場合は、よく冷やしてください
肌深部へレーザー照射をする際は、針で刺されたような感覚や熱を感じることがあります。これらは1時間ほどで消失することが一般的ですが、火傷のような痛みが続く場合は、治療部をよく冷やしてください。
日焼け止めを必ず使用してください
施術後の肌は紫外線の影響を受けやすい状態です。外出時は日焼け止めをしっかり塗り、帽子や日傘も併用してください。
保湿をしっかり行ってください
施術後は肌が乾燥しやすくなっています。保湿ケアをこまめに行ってください。
当日からメイク・洗顔が可能です
施術当日からメイク・洗顔が可能です。ただし施術部位を強くこすることは避けてください。
飲酒・激しい運動・長時間の入浴は当日避けてください
体温が上がると赤みや腫れが長引く場合があります。当日は控えていただくようお願いします。
外用薬の再開時期を確認してください
レチノイン酸・ハイドロキノンなどは、施術後の肌の状態を確認してから使用してください。使用時期は、医師・看護師の指示に従ってください。
効果には個人差があります
ピコトリートメントの効果はシミの種類・濃さ・肌質・生活習慣などによって異なります。同じ回数でも、仕上がりには個人差があります。
リスク・副作用
赤み・熱感
施術直後に赤みや熱感が出ることがありますが、多くの場合数時間以内に治まります。
炎症後色素沈着(戻りジミ)
施術の刺激により、一時的にシミが濃くなることがあります。ピコレーザーは従来のレーザーに比べて起きにくいとされていますが、肌質や施術部位によっては発生する場合があります。適切なアフターケアで改善します。
肝斑の悪化
肝斑が混在している場合、スポット照射の刺激で悪化する可能性があります。しかしピコトリートメントでは、まずトーニングで肝斑を十分に薄くしてからスポット照射を行うため、肝斑悪化のリスクを抑えた治療が可能です。当院では初回に医師が診断を行い、肝斑の状態を確認したうえで照射方針を決定します。
色素脱失(白抜け)
非常にまれですが、照射部位のメラニンが過剰に破壊され、白く抜けることがあります。
施術を受けられない場合
以下に該当する方は施術をお断りする場合があります。
・妊娠中・授乳中の方
・日焼け直後の方
・光線過敏症の方
・ケロイド体質の方
・施術部位に炎症・感染症がある方
受付時間 9:45〜13:00 / 14:45〜18:30 日祝休診