医療コラム
Vビームで改善しない赤ら顔に、当院がダブルジェネシスをお勧めする理由とは
「他のクリニックでVビームを繰り返したのに、赤みがなかなか引かない」「保険適用でVビームを受けているが、効果に物足りなさを感じる」——赤ら顔・酒さのお悩みで当院を受診される患者さんの中には、こうした経験をお持ちの方が少なくありません。
赤みの治療にはさまざまなレーザーが存在しますが、「どの機械を使うか」によって、到達できる深さも、効果の幅も、ダウンタイムも大きく変わります。今回は、当院で使用しているエクセルV(Excel V)を用いた「ダブルジェネシス」という治療法を中心に、他の赤み治療レーザーとの違いについて、できるだけわかりやすくご説明します。
目次
赤ら顔の原因と「波長」の関係
赤ら顔の主な原因は、皮膚内の毛細血管が拡張し、透けて見えることにあります。この拡張した血管は皮膚の「浅い層(表皮〜真皮上層)」にある場合もあれば、「深い層(真皮中〜深層)」にある場合もあり、症状によってその分布はさまざまです。
レーザー治療では、この血管に含まれるヘモグロビン(血色素)に光を吸収させることで、血管にダメージを与えて収縮・閉塞させていきます。このとき重要になるのが「波長」です。波長が短いほど皮膚の浅い層に吸収されやすく、波長が長いほど深くまで到達します。
つまり、皮膚のどの深さにある血管を狙うかによって、適切な波長が変わるということです。
Vビームが一般的に使われる理由と、その限界
Vビーム(Vbeam)は波長595nmのパルス色素レーザー(PDL:Pulsed Dye Laser)で、ヘモグロビンへの吸収率が高く、赤みや毛細血管拡張の治療として国内外で広く使われています。保険適用疾患(酒さ、毛細血管拡張症など)にも対応しており、「赤みのレーザー治療=Vビーム」という認識が広まっているのはそのためです。
ただし、Vビームにはいくつかの注意点があります。
到達深度の問題
595nmという波長は、真皮の比較的浅い層にある血管の治療には優れていますが、それより深いところにある血管拡張には十分に届きにくい特性があります。「浅い赤みには効くが、深い赤みには弱い」という点が、Vビームの物理的な限界といえます。
痛みとダウンタイムの問題
Vビームは高出力のパルス照射で血管に直接ダメージを加えるため、照射時の痛みが比較的強く、内出血(紫斑)が生じることがあります。これを「レーザーパープラ」と呼びますが、ダウンタイムとして数日間、皮膚に紫のあざが残ることがあり、日常生活に支障をきたす場合があります。Vビームは適切な症例・施術者のもとで行えば確かに有効な治療ですが、「Vビームで治らなかった」という患者さんが一定数いらっしゃるのは、こうした特性によるものと考えられます。
ダブルジェネシスで使用するエクセルVとは
エクセルV(Excel V)は、米国Cutera社が開発した高性能血管病変治療レーザーで、532nm(KTPレーザー)と1064nm(Nd:YAGレーザー)の2つの波長を1台に搭載しています。この「2波長」という特徴が、他のレーザーにはない強みをもたらしています。
- 532nm(KTP):ヘモグロビンへの吸収ピークに近い波長で、真皮浅層の細い毛細血管や表皮に近い赤みに効果的です。
- 1064nm(Nd:YAG):より長い波長で皮膚深くまで到達し、真皮中〜深層にある太い拡張血管や深部の炎症にアプローチできます。
また、エクセルVはパルス幅(照射時間)を細かく調整できるため、ターゲットとなる血管のサイズや深さに合わせた精密な設定が可能です。赤ら顔・酒さ・毛細血管拡張症・ニキビの赤みなど、さまざまな「赤み」の悩みに対応できます。
ダブルジェネシスが「浅い層」も「深い層」も攻略できる理由
当院で行う「ダブルジェネシス」とは、エクセルVの532nmと1064nmの2つの波長を組み合わせて照射する治療法です。それぞれの波長を単独で使うのではなく、浅い層と深い層を一回の施術で同時にケアできるところに、この治療の大きな優位性があります。
具体的には、532nmが表皮〜真皮上層の赤みを処理し、続いて1064nmが真皮中〜深層の血管拡張や炎症に作用します。Vビームだけでは届かなかった深部の赤みにも対応できるため、「Vビームを続けてもよくならなかった」という患者さんにとっても、新たな改善の可能性があります。
また、ジェネシスの照射方式はサブスレッショルド(熱刺激)照射といって、血管に直接ダメージを加えるのではなく、穏やかな熱エネルギーによって血管を収縮させ、コラーゲンの産生を促す治療です。これにより、Vビームで懸念されるような強い痛みや内出血のリスクが大幅に低減され、「痛みが怖くてレーザー治療をためらっていた」という方にも受けていただきやすい治療です。
「ダーマV」「アドバテックスレーザー」との違い
ダーマV(DermaV):532nm+1064nm
近年、一部のクリニックで「ダーマV」と呼ばれる機器を使った治療も登場しています。ダーマVはLutronic社製の血管病変治療レーザーで、その波長構成はエクセルVとまったく同じ532nm(KTP)+1064nm(Nd:YAG)です。
「浅い層と深い層を2波長でカバーする」というコンセプト自体、エクセルVが先行して確立したものであり、ダーマVはその考え方を踏まえた後発機器といえます。エクセルVはすでに長年の豊富な臨床データと使用実績を持っており、安全性・有効性の観点で現時点ではより高い信頼性を有しています。
アドバテックスレーザー(ADVATx):589nm+1319nm
最近、SNSやクリニックの広告で「アドバテックスレーザー」という名前を目にする機会が増えてきました。「ニキビに革命」「皮脂腺を直撃」といった打ち出し方で注目を集めており、実際に「アドバテックスってどうですか?」とご質問をいただくこともあります。
アドバテックスレーザー(ADVATx)は589nmと1319nmの2波長を搭載した機器です。589nmはヘモグロビンやニキビ菌が産生するポルフィリンに吸収され赤みや炎症性ニキビに作用し、1319nmは真皮層の水や皮脂腺に吸収されて皮脂分泌の抑制とコラーゲン産生を促します。60ナノ秒という非常に短いパルス幅でのフラクショナル照射も特徴的な、新しい設計の機器です。
ただし、新しい機器で広告でたくさん紹介されているからといって、「話題になっている=実績がある」とは限りません。エクセルVを用いたダブルジェネシスは、赤み・ニキビ・皮脂コントロールにおいて20年以上の臨床データを積み重ねてきた治療です。そもそも、アドバテックスの「浅い層と深い層を2つの波長で同時にアプローチする」というコンセプトは、ジェネシスが長年実践してきた考え方と本質的に共通しています。つまり、アドバテックスで期待される効果の多くは、ダブルジェネシスでもすでに十分に得られると、現時点で私はそのように考えています。
目新しい治療は魅力的に見えるものですが、同じ方向性の治療であれば、圧倒的な実績を持つ機器を選ぶのが、肌にとっても賢明な判断ではないかと思われます。今後のデータを待ちたいところです。
アビクリアについて——効果はあるが現実的ではない理由
アビクリア(AviClear)は、エクセルVと同じCutera社が開発した1726nmのInPダイオードレーザーで、ニキビ・脂性肌の治療を目的とした機器です。この波長は皮脂腺内の脂質に選択的に吸収される特性を持ち、2022年にFDAの認可を取得した新しいアプローチです。
ただし、アビクリアには実際の運用面でいくつかのハードルがあります。1回あたりの施術費用が非常に高額で、通常3回のセッションが推奨されることを考えると、トータルの費用負担はかなり大きなものになります。また、照射時の痛みも比較的強いとされています。それに対して、エクセルVを用いたダブルジェネシスは費用が抑えられ、痛みも少なく継続しやすい点で現実的な選択肢です。肌の赤みや皮脂トラブルは継続的なメンテナンスが重要であり、財布にも肌にも優しく長く続けられることが、治療選択の大切なポイントです。
当院で「ジェネシス」が長年支持されている理由
当院では、このエクセルVによるジェネシス治療が非常に高い人気を誇っています。ジェネシスの歴史は古く、20年以上にわたる治療実績があります。新しい機器が次々と登場する美容皮膚科の世界において、これほど長く使われ続けていること自体が、その有効性と安全性の証明といってよいでしょう。美容皮膚科医の間でも「やはりこれが一番好き」と言う医師が多い、知る人ぞ知る名機です。
ジェネシスは、コラーゲン産生の促進、毛穴の引き締め、皮脂分泌の正常化、赤みの改善といった複数の効果を持ちながら、ダウンタイムがほぼゼロという点で優位性が際立っています。照射直後から普段通りの生活が送れるため、お仕事や外出の予定に合わせて無理なく通い続けられます。
少し個人的なことをお話しすると、私自身もまもなく50歳になりますが、患者さんや知人から「30代に見える」「年齢不詳」と言われることがあります。ジェネシスを継続して自分自身に施術してきたことも、間違いなくその一因だと思っています。美容皮膚科医として、自信を持っておすすめできる治療です。
まとめ:赤ら顔の治療は、機械の選択がすべてを決める
赤ら顔・赤みの治療において、「どのレーザーを使うか」は治療結果を大きく左右します。Vビームで効果が出なかった方が、エクセルVのダブルジェネシスに切り替えて改善に向かうケースは、当院でも決して珍しくありません。
新しい機器への注目が集まりやすい美容皮膚科の世界ですが、長年の実績に裏打ちされた機器・治療法の価値は揺るぎません。赤みのお悩みで他院での治療がうまくいかなかった方、Vビームを繰り返してきたが改善が見られない方は、ぜひ一度当院へご相談ください。
- (執筆者情報)
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小谷 和弘
日本皮膚科学会 皮膚科専門医
厚生労働省指定 麻酔科標榜医
日本内科学会 認定内科医

