医療コラム
どうして当院のボトックス注射は痛みが少ないのか?皮膚科専門医が解説
当院では2026年9月からボトックス注射の施術を本格的にスタートしました。おかげさまで想定を大きく上回るご予約・ご相談をいただき、薬剤の入荷が追いつかず、まもなく入荷待ちとなってしまう見込みです。お待たせしてしまう皆様には、ご迷惑をおかけして大変申し訳ございません。
ボトックス注射を希望される患者様のカウンセリング時によくあるのが、「以前に他のクリニックで受けたときにすごく痛かったので、今回も心配で……」というお声です。ボトックスは気になっているけれど、注射の痛みが怖くてなかなか一歩を踏み出せない。そうした方は少なくありません。
ところが、そのような方であっても、実際に当院で施術を受けていただくと、終わったあとに「え、もう終わりですか?」「前のときと全然違って、ほとんど痛くなかった」とおっしゃっていただくことが本当に多いです。最近では、そのお話をご家族やご友人から聞いて「痛くないと聞いたので来ました」と来院される方もいらっしゃるほどです。
ボトックス注射の痛みを完全にゼロにすることはできませんが、「どの深さに、どの針で、どう刺して、どう注入するか」によって、痛みの感じ方は大きく変わります。今回は、当院のボトックスが患者さまから「痛みが少ない」と言っていただき、皆さまに安心して受けていただけている理由を、皮膚の仕組みから順を追って解説します。
目次
ボトックス注射はなぜ痛い?皮膚の神経と痛みの仕組み
皮膚は3つの層でできている
皮膚は外側から「表皮」「真皮」「皮下組織」の3層でできています。顔の表皮の厚さは約0.1mm前後とごく薄く、その下の真皮は部位によって異なりますが1〜3mm程度です。さらにその下に皮下脂肪があり、表情をつくる筋肉(表情筋)はこの皮下組織の中や、さらに深い位置にあります。
痛みのセンサーは浅い層に集まっている
痛みを感じ取るセンサーは「自由神経終末」と呼ばれる神経の末端で、表皮と真皮の境目あたりから真皮の浅い層にかけて特に豊富に分布しています。つまり、皮膚の浅い部分ほど痛みに敏感なのです。
注射の痛みは、大きく分けて次の2つです。
- 針が皮膚を貫く瞬間の「チクッ」とした鋭い痛み
- 薬液が入り、組織が押し広げられるときの「じわっ」とした圧迫による痛み
ツベルクリン反応の検査のように、皮膚のごく浅い層(皮内)に薬液を入れる注射が痛いのは、神経が密集している場所に液体をため込むためです。ボトックスの痛みを少なくするには、この2つの痛みをそれぞれどう抑えるかが鍵になります。
ボトックスの痛みが少ない理由① 注入する「深さ」のコントロール
ボトックスは、筋肉の過剰な動きを抑えることでシワを改善する薬です。本来の目的地は「表情筋」であり、皮膚の浅い層に薬液をためる必要はありません。
浅い層で注入すると、皮膚がぷくっと盛り上がり、神経が密集した部分が押し広げられるため痛みが強く出やすくなります。そこで当院では、神経が集まる層よりも一段深い位置まで針先を確実に届けてから注入することを意識しています。
ただし、ただ深く打てばよいわけではありません。眉間のように筋肉が比較的しっかりしている部位、額や目尻のように筋肉が薄く浅い位置にある部位など、顔の解剖は場所ごとに異なります。深すぎれば骨膜に当たって痛みが出たり、目的以外の筋肉に薬が広がったりするおそれもあります。部位ごとに皮膚の厚みや筋肉の位置を考え、「痛みが出にくく、なおかつ効果が出る深さ」を見極めること。ここに、皮膚科専門医としての知識が生きてきます。
ボトックスの痛みが少ない理由② 極細の34G針を選んでいる理由
ゲージ(G)は数字が大きいほど細い
注射針の太さは「ゲージ(G)」という単位で表し、数字が大きいほど細くなります。当院で使用している34G針は、外径が約0.18mmです。採血でよく使われる針(21〜23G)の外径は約0.6〜0.8mmですから、その数分の一の細さということになります。
針が細いほど皮膚を貫くときの抵抗が小さく、痛点(痛みを感じる点)に当たる確率も下がるため、刺したときの痛みが少なくなります。
「細ければ細いほど良い」わけではない
では、もっと細い針を使えばさらに痛くないのでしょうか。実は、針は細くなるほどしなりやすく、狙った深さや角度に正確に進めることが難しくなります。針先がぶれると、かえって組織を傷つけたり、刺し直しが必要になったりしかねません。
私自身、さまざまな太さの針を使い比べてきましたが、33Gではわずかな差ながら刺すときの痛みがやや強く、34Gより細い針では刺入が安定しにくいと感じています。痛みの少なさと正確さのバランスがもっとも良いのが、34Gという太さなのです。
ボトックスの痛みが少ない理由③ 刺入角度・ベベル・注入スピードへのこだわり
麻酔科医時代に培った針の扱い
私は皮膚科医になる前、麻酔科医として、点滴のルート確保や神経ブロック、硬膜外麻酔など、数えきれないほどの穿刺(針を刺す処置)に携わってきました。当時から、針の扱いについては周囲からよく褒めていただいたものです。その経験は、今のボトックス施術にもそのまま生きています。
刺入角度とベベルの向き
針の先端は斜めにカットされており、この刃の面を「ベベル」と呼びます。局所麻酔の注射を対象にした研究では、ベベルを上に向けて刺したほうが、下に向けて刺すよりも痛みが少なかったと報告されています。また、皮膚に対して浅い角度で斜めに刺すと、皮膚の中を通る距離が長くなり、より多くの神経線維を横切ってしまいます。垂直に近い角度で刺したほうが痛みが少なかったという比較試験もあります。
私はこれらの知識と実体験をベースにして、ボトックスを打つ際、部位ごとに皮膚への刺入角度とベベルの向きを常にコントロールし、意識しています。
刺入スピードと注入スピード
針はためらわずにスッと刺し、刺したあとは針先をできるだけ動かさない。そして薬液は、組織を急に押し広げないよう、ゆっくりと一定の圧で注入する。局所麻酔の分野では、注入スピードを遅くすると痛みが少なくなることが複数の研究で示されています。組織を無理に押し広げないことは、痛みだけでなく内出血を減らすことにもつながります。
深さ・角度・ベベル・刺入速度・注入速度。これらを1か所ごとに同時にコントロールしながら、1回の施術で何か所も打っていくのは、それほど容易なことではありません。だからこそ、日々の施術で一針一針を大切にしています。
ボトックスの痛みが少ない理由④ 冷却とアラガンボールで痛みをやわらげる
当院では施術の前にしっかりと冷却を行います。冷やすことで皮膚の感覚が鈍くなり、針を刺したときの「チクッ」とした痛みを感じにくくなります。
さらに、施術中に握っていただくボール(アラガンボール)もご用意しています。人の体には、痛み以外の刺激(冷たさ・圧迫・触れられる感覚など)が同時に加わると、痛みの信号が脊髄の入り口で伝わりにくくなる仕組みがあり、「ゲートコントロール理論」として知られています。ボールを握ることで意識が分散し、痛みの感覚をぼやかす効果が期待できます。
なお、ボトックス注射における冷却や振動などの補助的な方法の効果については研究によって結果に差があり、ある比較試験では「道具よりも、一貫した正しい手技のほうが痛みの軽減には重要」と結論づけられています。当院でも、冷却やボールはあくまで手技を支える補助と考えています。
ボトックスの痛みが少ない理由⑤ 注射ポイントを必要最小限に設計する
2025年に発表された、エラのボトックス注射を受けた216人を対象とした研究では、注射するポイントの数や注入量が多いほど痛みが強くなる傾向が示されました。当然のことのようですが、「刺す回数を減らす」ことは、痛みを抑えるうえで最も確実な方法のひとつです。
当院では施術の前に、実際に表情をつくっていただき、筋肉の動き方や強さを一人ひとり確認しています。そのうえで、効果を出すために必要なポイントを見極め、むやみに刺入回数を増やさないよう注射の配置を設計しています。シワの出方や筋肉の強さは人それぞれです。決まったパターンをなぞるのではなく、その方のお顔に合わせて設計することが、痛みの少なさと自然な仕上がりの両方につながると考えています。
海老名で痛みの少ないボトックスを1部位9,900円から 料金とご予約について
当院のボトックスは、1部位9,900円(税込)から受けていただけます。
ボトックスは一度打てば終わりではなく、3〜4か月ごとに続けることで効果を保ちやすい治療です。どんなに良い治療でも、続けられない価格では意味がありません。「痛くないから続けられる」と同じくらい、「この価格なら続けられる」と感じていただけることを大切にしたいと考え、できる限り費用を抑えた価格設定にしています。
さらに、4部位以上をまとめて受けられる方には「50単位打ち放題」もご用意しています。ナボタなら35,000円(税込)で、眉間・額・目尻・あごなど4部位を組み合わせた場合、1部位あたり約8,750円とさらにお得になります。
当院では、厚生労働省承認のアラガン社製「ボトックスビスタ®」と、米国FDA承認の韓国製「ナボタ」の2種類を取り扱っており、部位や目的に応じてご提案しています。
| 施術部位数 | アラガン(税込) | ナボタ(税込) |
|---|---|---|
| 1部位 | 14,300円 | 9,900円 |
| 2部位 | 28,600円 | 19,800円 |
| 3部位 | 42,900円 | 29,700円 |
| 4部位以上(50単位打ち放題) | 50,000円 | 35,000円 |
「ボトックスに興味はあるけれど、費用が気になって踏み出せなかった」という方も、まずは気になる1部位から、9,900円で気軽に試していただけます。
※ナボタは国内未承認医薬品です。当院では医師の責任のもと、国内の輸入代行業者を通じて入手しています。国内では同一成分のA型ボツリヌス毒素製剤として「ボトックスビスタ®」が承認されています。ナボタは米国FDAで承認されていますが、重大な副作用の可能性が否定できるものではありません。
※主なリスク・副作用:注射部位の痛み・赤み・腫れ・内出血、頭痛、まぶたや眉が重く感じる、表情の違和感などが生じることがあります。妊娠中・授乳中の方は施術を受けられません。効果には個人差があります。
まとめ
ボトックス注射の痛みは、皮膚の神経の分布を理解したうえで、「注入する深さ」「針の太さ」「刺入角度とベベル」「刺入と注入のスピード」「冷却や補助具」「注射ポイントの設計」を一つひとつ丁寧に積み重ねることで、大きく抑えることができます。
「以前ほかで受けて痛かったから、もうボトックスはこりごり」と思っている方にこそ、一度ご相談いただきたいと考えています。実際に、そうした方から「ここなら続けられそう」と言っていただけることが、私にとって何よりの励みになっています。痛みが少なく、1部位9,900円(税込)からと続けやすい価格で受けていただける当院のボトックスを、ぜひ一度お試しください。現在、大変多くのご予約をいただいており、薬剤が入荷待ちとなる場合がございます。ご希望の方は、お早めにカウンセリングのご予約をお願いいたします。
- (参考文献)
- (執筆者情報)
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小谷 和弘
日本皮膚科学会 皮膚科専門医
厚生労働省指定 麻酔科標榜医
日本内科学会 認定内科医

