ニキビ・ニキビ痕


当院のニキビ治療の特長

  • 患者様一人ひとりに最適な治療薬を選定し、使用方法の指導までスタッフが丁寧に行っています。
  • 当院オリジナルのニキビケア(洗顔料・保湿剤)も多くの患者様にご好評いただいております。
  • ニキビが治りにくい患者様のために、アゼライン酸イソトレチノインも積極的に使用しております。
  • 当院のケミカルピーリングとイオン導入のセットで、ニキビやニキビ痕の回復スピードが高まります。
  • ニキビ痕の赤みや凹みには、レーザー治療などの先進的な治療法を導入しています。

ニキビ(尋常性ざそう)とは

ニキビは尋常性ざそうとも呼ばれる、皮膚の慢性炎症性疾患です。皮脂の分泌量が多い思春期に生じやすく、顔以外にも胸や背中、お尻などの全身にできます。ニキビの症状は数年間にわたって続くこともあります。

ニキビの基礎知識

ニキビは毛穴に皮脂が詰まることで面ぽう(白ニキビ黒ニキビ)や炎症性ざそう(赤ニキビ)、膿疱(黄ニキビ)が生じる疾患です。ニキビのできる場所には、微小面ぽう(マイクロコメド)という見た目にはほとんどわからないレベルの角栓が毛穴に形成されており、これらが進行した面ぽうから炎症が生じ、周囲の正常な毛包にがることで赤ニキビへと変化します。

ニキビ痕とは

ニキビが悪化するとニキビ痕が残ってしまう場合があります。ニキビ痕が残らないようにするためには、早期に治療を始めたうえで、治癒した状態を維持することが重要です。なお、すでにできてしまったニキビ痕については、その種類に応じた適切な治療を行うことで、肌の状態を改善し、ニキビ痕が気にならない美しい肌を目指していくことも可能です。ニキビ痕には主に下記の3種類があります。

赤色のニキビ痕

赤色のニキビ痕は、悪化したニキビの炎症が肌に残ってしまった状態です。軽度のものであれば放置しておいても肌のターンオーバーによって徐々に回復し、早ければ2~3月程度で目立たなくなりますが、炎症が強い場合は半年~1年程度かかる場合もあります。

茶色のニキビ痕

赤色のニキビ痕を放置すると、メラニンによる色素沈着が生じて、茶色いシミのようなニキビ痕になります。軽度であれば自然に治癒しますが、真皮層にまでメラニン色素が及んでいる場合は自然回復は難しくなります

クレーター状のニキビ痕

クレーター状のニキビ痕は、悪化したニキビの炎症や化膿が真皮層に達し、皮膚組織が破壊されることで生じます。爪や不衛生な器具などを使ってニキビをつぶしたり、ニキビに力を入れてしぼったりすることも凹凸のあるクレーター状のニキビ痕の原因になります。こちらも自然回復することはありませんが、さまざまな治療法により目立たなくすることが可能になってきています。

ニキビ痕の治療について

ニキビの原因

ニキビの原因としては、古い角質による毛穴の詰まりや、皮脂の分泌が過剰になること、アクネ菌の増殖が考えられます。皮脂腺の皮脂が多くなりすぎたり、毛穴が詰まったりすることで初期のニキビが発生し、さらにアクネ菌が増殖していくことで炎症が生じて赤ニキビとなります。

ニキビの種類

ニキビは主にその進行度によって種類が分かれます。ニキビの種類には下記のようなものがあります。

微小面ぽう(マイクロコメド)

微小面ぽうとは、毛穴が詰まり始めた段階の、はっきりと目には見えないニキビです。皮脂によって毛穴が狭くなることで生じます。

白ニキビ(閉鎖面ぽう・コメド)

白ニキビとは、ニキビの初期段階を指し、皮脂が毛穴の中に溜まっている状態のことをいいます。毛穴周辺の角質が厚くなることで毛穴が塞がれ、皮脂が排出されにくくなり、皮膚表面に小さな白い隆起が現れます。

黒ニキビ(開放面ぽう・コメド)

黒ニキビは、白ニキビが進行することで毛穴が開き、毛穴に詰まっていた汚れや皮脂や古い角質などが空気にさらされて酸化し、メラニンによって黒っぽく見えるようになった状態です。

赤ニキビ(紅色丘疹)

赤ニキビとは、白ニキビや黒ニキビの状態から、毛包の中でアクネ菌が増殖し、炎症が引き起こされた状態のことをいいます。毛包に溜まった皮脂がアクネ菌の栄養源になり、繁殖させてしまいます。触れると痛みを感じる場合があります。

黄ニキビ(膿疱)

赤ニキビが進行すると、黄色ブドウ球菌の増殖により膿が生じ、黄ニキビとなります。ニキビの中心部分の皮膚が薄くなり、クリーム色の膿が透けて見えます。痛みやかゆみを伴うことがあり、炎症ががって毛包壁が破れると内容物が周辺の真皮に漏れ出し、より強い炎症を引き起こします。この状態が続くと、クレーター状のニキビ痕を形成してしまうおそれがあります。

ニキビの治療

ニキビの治療では、ニキビの原因である毛穴の詰まりを治すために、症状ごとに適した外用薬や内服薬が用いられます。自費治療では、ケミカルピーリングやレーザー治療なども行われます。

外用薬(保険治療)

保険治療で使用される毛穴の詰まりを治す外用薬には下記のようなものが挙げられます。これらの薬と抗菌薬の外用(クリンダマイシンやナジフロキサシン等)を併用しながら治療を開始することが多く、炎症が治ってくるにつれて抗菌薬の使用を減らしていくことが一般的な方法となっています。ニキビ治療の一番基本となる部分です。

ディフェリンゲル

ディフェリンゲルは、ほとんど全てのニキビの症状に対して効果が期待できる外用薬です。皮膚表面の細胞が生まれてから角質になるまでの過程である角化を調整し、毛穴の詰まりを改善することで、ニキビを治療し予防する効果があります。炎症のある赤ニキビだけでなく、白ニキビや黒ニキビにも効果があるため、早い段階でニキビを治療できます。また、微小面ぽうに対しても治療効果があるため、継続して使うことで新たなニキビが生じにくくなります。

ベピオゲル

ベピオゲルも、ニキビのあらゆるステージに効果が期待できる外用薬です。皮膚表面の古い角質を剥がすピーリング作用によって、ニキビの原因となる毛穴の詰まりを改善する効果に加えて、アクネ菌などの増殖を抑制する抗菌作用が入っています。

エピデュオゲル

エピデュオゲルは、ディフェリン(アダパレン)とベピオゲル(過酸化ベンゾイル)の2つの有効成分を配合した外用薬です。アダパレンは皮膚の角化を調節し、毛穴の詰まりを改善します。過酸化ベンゾイルはニキビの原因菌であるアクネ菌などを殺菌し、さらにピーリング作用をもたらします。

デュアック配合ゲル

デュアック配合ゲルは、ベピオゲル(過酸化ベンゾイル)と抗菌薬であるクリンダマイシンの合剤です。厚くなった角質を剥がし、毛穴に詰まった角質を取り除きます。増殖したアクネ菌を減らして炎症を予防することに加え、炎症の原因となる活性酸素や遊離脂肪酸などの発生を抑えて炎症の悪化と化膿を防ぐ作用があります。

内服薬(保険治療)

ニキビの保険治療では症状に応じて、外用薬だけでなく、下記のような内服薬が用いられることがあります。

抗生物質

炎症が激しい赤ニキビや膿を伴う黄ニキビが多発しているケースでは、内服用の抗生物質が処方される場合があります。ニキビ治療で主に使われるものには、ミノマイシン(ミノサイクリン)やビブラマイシン(ドキシサイクリン)やルリッド(ロキシスロマイシン)など挙げられます。ただし、抗生物質が適応されるのは強く炎症が起きているニキビに限られます。内服用の抗生物質はニキビの炎症を早期に鎮める効果を持ちますが、ニキビを予防する効果は持たないため、炎症を起こしていない白ニキビや黒ニキビには効果がない点に注意しましょう。

漢方薬

ニキビの治療において、漢方薬は補助的な役割を担います。日本皮膚科学会が作成したガイドラインでは、他の治療が無効であれば推奨するという、推奨度C1が設定されています。ニキビの治療に用いられる漢方薬には、荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう)や十味敗毒湯(じゅうみはいどくとう)などがあります。

ビタミン剤

皮脂の過剰な分泌による毛穴の詰まりが顕著な場合は、ビタミンB2B6を内服することで改善が見られるケースがあります。ビタミンB2は脂質の代謝を正常にして皮脂の過剰な分泌を抑え、ビタミンB6はニキビ痕の原因となるチロシナーゼの活性を抑制します。またビタミンCにも、コラーゲンの合成を促進し、メラニン色素の合成を抑えることでニキビを改善する効果が期待できます。

自費治療

ニキビの自費治療には、ケミカルピーリングや、日本ではまだ承認されていないイソトレチノインや男性ホルモン抑制剤などの内服薬、レーザー治療などがあります。

ケミカルピーリング

ケミカルピーリングとは、グリコール酸などの薬剤を使用することで、表皮や皮膚の角質を化学的に溶かすことをいいます。日本皮膚科学会でそのエビデンスが認められており、ニキビやニキビ痕の治療にも効果的です。
当院で提供しているイオン導入という、皮膚に微弱な電流を流して、水溶性のビタミンCやトラネキサム酸などの美容成分や薬剤を皮膚内に効果的に浸透させる治療と併用することでさらに効果を高められます。

ケミカルピーリングについて

レーザー治療

ニキビやニキビ痕に効果的な治療として、レーザー治療があります。当院では、ジェネシスというロングパルスYAGレーザー機器を採用しています。従来のYAGレーザーと比べて、美肌効果と安全性がさらに高められており、ピーリング効果によりニキビやニキビ痕によるクレーター肌の改善にも効果を発揮します。コラーゲンの再生を促すため、お肌のキメが整い、ハリも戻ります。くすみや小ジワ、開いた毛穴や赤ら顔などにも有効です。ダウンタイムが少ないため、治療直後からメイクすることができます。照射中の痛みもほとんどなく、安心して治療を受けられます。

ジェネシスについて

内服薬

ニキビの自費治療で使用される内服薬には下記のようなものがあります。

イソトレチノイン
イソトレチノインとは、ビタミンAに似たレチノイドと呼ばれるグループに属する内服薬です。アキュテイン、ロアキュタン(ロアキュテイン)という名称ですが、世界各国で40年以上に渡って使用され、より安価なジェネリック医薬品も多数あり、その効果の高さ(97〜98%の治癒率)と安全性が実証されています。皮脂分泌の抑制や、毛穴の詰まりの改善、抗炎症作用があり、中等度から重症のニキビの治療に著明な効果があります。アメリカやイギリスなどの多くの国で承認を受けていますが、日本では現在のところ未承認のため、自費診療となります。また、妊娠の可能性がある女性は非常に注意深く使用する必要がある薬のため、安易な診療で薬のみを販売するようなクリニックや、オンラインサイトで個人購入しての使用は避けるべきであり、厚生省からも注意喚起がなされています。当院ではEU圏内で主に使用されているアクネトレントというジェネリック薬を採用しており、高い治療効果をあげております。
ホルモン治療
ホルモン治療では、男性ホルモン抑制剤であるスピロノラクトンにより、過剰な皮脂の分泌を抑えることでニキビを治療します。アメリカの皮膚科学会などでは、成人女性の難治性のニキビに対する治療として推奨されています。スピロノトラクトンは利尿薬として厚生労働省の承認を受けていますが、ニキビ治療薬としては承認されていないため、自費診療となります。なお、現在のところ当院では未対応です。

Q&A

ニキビをつぶしても大丈夫ですか?

ニキビを自分でつぶすことはお勧めしません。つぶすことで、炎症がさらに悪化し、感染のリスクが高まる可能性があります。また、無理に圧力をかけることで皮膚が傷つき、色素沈着やクレーター状の痕が残ることもあります。あまり炎症がひどい場合は、当院で小切開をして膿を出す処置を行うことはありますが、清潔な環境下で、抗生物質の投薬も必ず一緒に行いますので、自分でつぶすのとは全く異なります。ニキビの適切な治療は、専門の医師やスタッフの指導のもとで行うことが大切です。

食事がニキビに影響しますか?

はい、食事はニキビの発生や悪化に影響を与えることがあります。特に、高糖質(砂糖や精製された炭水化物)や高脂肪の食品、例えばスナック菓子やファストフード、甘い飲み物などは、ニキビを悪化させる可能性があります。一方で、野菜や果物、魚、全粒穀物、ナッツなどのバランスの取れた食事を心がけることが、肌の健康維持に役立つとされています。また、乳製品の摂取が一部の人でニキビを悪化させる可能性も指摘されており、個別の体質に合わせた食事の調整が必要です。

ニキビ痕を防ぐ方法はありますか?

ニキビ痕を防ぐためには、早期の治療適切なスキンケアが非常に重要です。ニキビができたら、早めに皮膚科を受診し、症状に合った治療を受けることで、炎症を抑え、痕が残るリスクを減らせます。また、正しいスキンケアも大切です。過剰な洗顔や刺激の強い化粧品の使用を避け、肌に優しい保湿を心がけることで、肌のバリア機能を維持し、痕ができにくい環境を整えます。さらに、紫外線はニキビ痕の色素沈着を悪化させる原因となるため、外出時には必ず日焼け止めを使用し、紫外線から肌を守ることが効果的です。当院では、患者様一人ひとりの肌の状態に合わせたスキンケアのアドバイスや治療を提供していますので、どうぞお気軽にご相談ください。

市販の化粧品は使えますか?

市販の化粧品も使用可能ですが、ニキビ肌には「非コメドジェニック」や「オイルフリー」の製品を選ぶと良いでしょう。ただし、そのほかにも成分にアルコールや香料などの刺激の強いものが含まれていないか確認することも大切です。また、ニキビ症状がひどい場合は医師の診察をおすすめします。当院では、ニキビケアに特化したオリジナルのケア用品もご用意しておりますので、ぜひご相談ください。

ストレスとニキビは関係がありますか?

はい、ストレスはニキビの原因となることがあります。ストレスを感じると、交感神経が優位となり、体内でホルモンバランスが乱れ、皮脂の分泌が増加し毛穴が詰まりやすくなるためです。また、ストレスは炎症反応を引き起こし、既存のニキビを悪化させることもあります。そのため、適切なストレス管理やリラクゼーション方法を取り入れることも、ニキビ予防に役立ちます。

(参考文献)

日本皮膚科学会「尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン 2023」

日本皮膚科学会 皮膚科Q&A にきび

(監修者情報)

小谷 和弘

日本皮膚科学会 皮膚科専門医

厚生労働省指定 麻酔科標榜医

日本内科学会 認定内科医

皮膚科・小児皮膚科・美容皮膚科・アレルギー科

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