イベルメクチンクリーム
IVERMECTIN CREAM 1%
ニキビダニを原因とする顔のぶつぶつ・赤みへのアプローチ
イベルメクチンクリームは、顔のダニ(ニキビダニ/デモデックス)の過剰増殖が関わるとされる難治性ニキビ・酒さ(しゅさ)の治療において、多くの皮膚科医が注目している外用薬です。保険適用のロゼックスゲル(メトロニダゾール)と比較して、ニキビダニへの作用を持つ点が特徴で、臨床試験でも高い改善率が報告されています。
イベルメクチンクリームの処方には、医師による診断を受けていただく必要があります。まずはご来院のうえ、ご相談ください。また、医師の診察結果によっては、イベルメクチンクリームを処方できない場合があります。
ニキビダニ(デモデックス)と顔の炎症
上記に当てはまる方は、ニキビダニ(デモデックス)が関与している可能性があります。イベルメクチンクリームは丘疹膿疱型酒さや、ニキビ様炎症を繰り返す方のうち、ニキビダニの異常増殖が関与していると考えられるケースに対して選択肢の一つとなります。保険の治療薬で十分な効果が得られない場合に、医師が適応を判断します。なぜ従来の治療で改善しにくいケースがあるのか、その背景を解説します。
※ニキビダニ症・酒さの確定診断は医師による診察が必要です。すべての症状がイベルメクチンクリームの適応となるわけではありません。
ニキビダニ(デモデックス)とは
デモデックス(Demodex folliculorum)は、ほぼすべての成人の毛包に常在する微小なダニです。通常は無害な共生関係を保っていますが、皮脂の過剰分泌や免疫バランスの乱れなどによって異常増殖すると、炎症性サイトカインの産生を誘導し、顔の赤みやブツブツの原因となることが多くの研究で示唆されています。実際に、酒さ患者のニキビダニ密度は健常者の15〜18倍、炎症性サイトカイン(IL-1β)の発現は3.4倍にのぼると報告されています。
ロゼックスゲルで改善が
得られない場合の選択肢として
保険適用のロゼックスゲル(メトロニダゾール 0.75%)は酒さの標準的な治療薬であり、抗炎症作用を中心に広く用いられています。一方で、ニキビダニ自体への作用は限定的なため、ニキビダニの増殖が関与しているケースでは十分な改善が得られない患者さんも存在し、そのような場合にイベルメクチンが選択肢となることがあります。
※Forton F et al. Br J Dermatol 1993 / Woo YR et al. Int J Mol Sci 2016 より
イベルメクチンクリームの2つの作用
イベルメクチンクリームが他の酒さ治療薬と異なる最大の特徴は、「ニキビダニへの作用」と「抗炎症作用」を同時に持つ点です。
作用① ニキビダニ
(デモデックス)の減少
イベルメクチンはダニ類の神経・筋系に選択的に作用し、過剰増殖したデモデックスを麻痺・死滅させます。ニキビダニ数を正常レベルに近づけることで、症状の再発を抑える効果が期待できます。
作用② 抗炎症作用
皮膚の慢性炎症に関わるサイトカイン(IL-1β、TNF-α)の産生を抑制し、赤みやブツブツを鎮静化します。ニキビダニの減少と組み合わさることで、より持続的な改善効果が期待されます。
臨床試験での有効性
イベルメクチンクリームは2014年にFDAで承認された酒さ治療薬です。大規模ランダム化比較試験(1,371名対象)において、中等度から重度の丘疹膿疱型酒さ患者を対象にプラセボと比較した結果、有意に高い治療成功率(40%超、プラセボ群は11〜18%)が確認されています。使用開始2週間から炎症性病変の有意な改善が認められ、海外の臨床試験では12週時点での患者自己評価で60%以上が「改善した」と回答しています。
また、ロゼックスゲル(メトロニダゾール)やアゼライン酸との比較臨床試験でも、イベルメクチンクリームのより高い有効性が複数の論文で報告されています。
※Stein L et al. J Drugs Dermatol 2014 / Taieb A et al. Br J Dermatol 2015 / Siddiqui K et al. Springerplus 2016 より
イベルメクチンクリームの費用
料金表
| メニュー | 内容 | 料金(税込) |
|---|---|---|
| イベルメクチンクリーム | 1本 30g (使用量の目安:約1〜2ヶ月分) |
3,300円 |
※保険適用外(自費診療)です。医師による診察のうえ処方いたします。
※医師の診察の結果、処方できない場合があります。
※妊娠中・授乳中の方には原則として処方しておりません。
お支払い方法
海老名皮フ科クリニックでは、下記のお支払い方法に対応しています。
イベルメクチンクリームと他の治療薬との違い
ロゼックスゲル・アゼライン酸との比較
酒さ・ニキビダニ症に使用される代表的な外用薬を比較しました。
| イベルメクチンクリーム | ロゼックスゲル | アゼライン酸 | |
|---|---|---|---|
| 主成分 | イベルメクチン 1% | メトロニダゾール 0.75% | 飽和ジカルボン酸 |
| ニキビダニへの作用 | あり(ダニ数を減少) | 限定的 | なし |
| 抗炎症作用 | あり(強) | あり | あり |
| 使用頻度 | 1日1回 | 1日2回 | 1日2回 |
| 主な適応 | 丘疹膿疱型酒さ・ニキビダニ症 | 酒さ全般 | 酒さ・ニキビ・色素沈着 |
| 保険適用 | 適用外(自費) | 保険適用 | 適用外(自費) |
※Taieb A et al. Br J Dermatol 2015 / Siddiqui K et al. Springerplus 2016(ネットワークメタ解析)などの報告に基づきます
イベルメクチンクリームの使い方
1日1回の使用で継続しやすいのが特徴です。
洗顔・スキンケアが乾いた後、患部に使用します。スキンケアを使う場合はその後に塗布してください。
額・両頬・鼻・あごにそれぞれ小豆大ほどを目安に、指先で薄く優しくのばします。目・唇・粘膜部位への使用は避けてください。
効果の発現には個人差がありますが、通常2〜4週間で変化を実感できることが多いです。臨床試験では12週間の継続使用を評価基準としており、症状が安定したら使用頻度を漸減する維持療法に移行します。
※使い始めのご注意:使用初期に一時的な刺激感や赤みの増強がみられることがあります。多くは一過性ですが、症状が強い場合や2週間以上続く場合は自己判断で継続せず、ご相談ください。
当院では酒さ・赤ら顔の診療を多数行っており、保険診療から自費治療まで幅広くご提案しています。まず保険適用の治療薬(ロゼックスゲルなど)を試みたうえで、十分な改善が得られない患者さんに対してイベルメクチンクリームを選択肢の一つとしてご案内しています。ニキビダニ(デモデックス)が関与しているかどうかは診察でご相談いただければと思います。酒さ治療・赤ら顔治療でお困りの方は、お気軽にご相談ください。
よくあるご質問
確定診断は医師による診察が必要です。ただし、「保険治療を続けても改善しない」「頬・鼻まわりの慢性的なブツブツや赤みがある」「30代以降に症状が悪化してきた」といった傾向がある場合、ニキビダニが関与している可能性があります。まずはご相談ください。
同部位への重複塗布はお控えください。現在ご使用中のお薬については、診察時に必ずお知らせください。医師の判断のもと使用方法をご案内します。
個人差はありますが、多くの場合2〜4週間で赤みやブツブツの変化を実感いただけます。12週(3ヶ月)を目安に継続することで、より安定した改善効果が期待できます。
中止後4ヶ月以内に約半数が再発するというデータがあります。症状が安定したら「毎日→隔日→週2〜3回」と使用頻度を漸減しながら維持療法として継続することをお勧めしています。
日本国内では未承認薬のため、薬局・ドラッグストア・Amazonなどでの市販はされていません。個人輸入品は品質・安全性が保証されず、健康被害のリスクも報告されています。必ず医師の診察のうえ処方を受けるようにしてください。
特に「丘疹膿疱型酒さ(赤いブツブツが多いタイプ)」に対して高い有効性が報告されています。毛細血管拡張による赤み主体のタイプ(紅斑毛細血管拡張型)には一定の効果はあるものの、レーザー治療との併用が有効な場合があります。詳しくは診察時にご相談ください。
注意点・副作用について
イベルメクチンクリームは外用薬の中でも刺激性が低く、52週(約1年)の長期使用における安全性が確認されています。
副作用は比較的少ないと報告されており、抗生物質を使用しないため耐性菌が生じにくい治療薬です。
まれな副作用として皮膚の灼熱感・刺激感・そう痒・乾燥が報告されています。症状が気になる場合は自己判断で使用を中止せず、まずご相談ください。
妊娠中・授乳中の方には原則として処方しておりません。
成分にアレルギーのある方はご使用いただけません。
目・唇・粘膜部位への使用は避けてください。
使用中に異常を感じた場合はご相談ください。
未承認医薬品に関するご説明
イベルメクチンクリームは、医薬品医療機器等法上の承認を得ていない未承認医薬品です。医師の判断のもと自費診療として処方します。
本製品は日本国内で承認を受けていないため、万が一重篤な副作用が生じた場合、国内の医薬品副作用被害救済制度の対象外となる場合があります。
個人輸入された医薬品のリスクについては厚生労働省ホームページをご参照ください。
(参考文献)
・Forton F, et al. "Density of Demodex folliculorum in rosacea: a case-control study using standardized skin-surface biopsy." Br J Dermatol. 1993.
・Woo YR, et al. "Rosacea: Molecular Mechanisms and Management of a Chronic Cutaneous Inflammatory Condition." Int J Mol Sci. 2016.
・Stein L, et al. "Efficacy and safety of ivermectin 1% cream in treatment of papulopustular rosacea." J Drugs Dermatol. 2014;13(3):316-23.
・Taieb A, et al. "Superiority of ivermectin 1% cream over metronidazole 0.75% cream in treating inflammatory lesions of rosacea." Br J Dermatol. 2015;172(4):1103-10.
・Siddiqui K, et al. "Comparative efficacy of topical ivermectin in the treatment of rosacea: network meta-analysis." Springerplus. 2016;5(1):1151.
・Raedler LA. "Soolantra (Ivermectin) 1% Cream: A Novel, Antibiotic-Free Agent Approved for the Treatment of Patients with Rosacea." Am Health Drug Benefits. 2015;8:122-5.
※本ページは医師の診断・治療を代替するものではありません。症状や体質により効果・副作用は異なります。

