みずいぼ

当院のみずいぼ治療の特長

  • 自然治癒も期待できますが、当院では早期治癒を目指して積極的に除去を行っています。
  • 他院で治療を断られたケースも相談に応じて、対応しています。
  • 痛みを抑えるため麻酔テープを使用し、使用方法を指導してから摘除を行います。
  • 取れにくい部分には外用薬も処方し、使用方法を指導しています。
  • 湿疹と混在している部分も治療方法を指導し、適切なケアを行います。

みずいぼとは

みずいぼは、伝染性軟属腫ウイルスというウイルスの感染によって、皮膚や粘膜にできる小さなイボの一種です。特に子どもの間でよく見られる感染症で、水ぼうそうと似た性質を持っています。みずいぼは小さな水ぶくれのような見た目で、手足や顔、体のどこにでも発生することがあります。

このウイルスは非常に感染力が強く、人から人へ簡単にうつることがあります。特に、免疫力がまだ十分に発達していない子どもは感染しやすく、他の子どもにもうつしやすいため、注意が必要です。幼稚園や学校、プールなど、多くの子どもが集まる場所では、みずいぼが広がりやすいことがあります。

みずいぼは、自然に治ることもありますが、放置すると数が増えたり、他の人にうつしてしまう可能性があるため、早めに皮膚科を受診して適切な治療を受けることが大切です。

みずいぼの症状

みずいぼは、小さな水疱(すいほう)が集まってできた丸くて透明な水ぶくれのような形をしており、直径は2〜5mm程度です。初期段階では周囲の皮膚と同じ色をしていることが多いですが、時間が経過すると白っぽくなったり、やや硬くなったりすることがあります。

みずいぼは体のどこにでも発生する可能性がありますが、特に手足や顔といった露出部分にできやすいのが特徴です。子どもの場合、手のひらや足の裏、指の間といった場所に発生しやすく、日常生活の中で触れやすい場所に出ることが多いです。また、遊んでいる時や物を握った時に気付くこともよくあります。大人の場合、顔や首、腕など、肌の薄い部分にできることが多く、特に剃毛後や肌を刺激するような行為が原因で広がることがあります。

みずいぼは基本的に痛みやかゆみを伴わないため、気づかないことが多いのですが、時には周囲が炎症を起こして赤みを帯びることがあります。炎症が起きると、触れた際に痛みや不快感を感じることもあります。特に衣服や靴によってみずいぼが圧迫されると、痛みを感じやすくなり、日常生活に支障をきたす場合もあるでしょう。

さらに、みずいぼが広がって数が増えていくと、見た目が気になったり、人前に出るのが恥ずかしいと感じることもあるようです。

みずいぼの原因

みずいぼは、伝染性軟属腫ウイルス(Molluscum contagiosum virus: MCV)の感染によって引き起こされます。MCVは、ポックスウイルス科に属するDNAウイルスで、ヒトにのみ感染します。

MCVは感染力が非常に強いウイルスで、直接的な接触や、感染者が使用した物品を介して感染します。特に、皮膚に傷があると、そこからウイルスが侵入しやすくなります。また、MCVは、温泉やプールなどの湿った環境を好むため、そのような場所では感染リスクが高くなります。

みずいぼは子どもの間で流行することが多いのですが、これは子どもの免疫力が弱く、感染しやすいためです。また、子どもは、手洗いが不十分だったり、タオルや洗面用具を共用したりすることが多いため、感染が広がりやすいのです。

大人の場合は、免疫力が高いため、MCVに感染してもみずいぼができにくいですが、皮膚の状態が悪かったり、ストレスを抱えていたりすると、感染リスクが高くなります。

みずいぼとプールの関係

みずいぼとプールの関係については、よく誤解されていることがあります。プールの水自体は、塩素消毒によって細菌やウイルスが死滅するため、感染源にはなりにくいのです。むしろ、プールサイドや更衣室など、湿気の多い場所で、裸足で歩いたり、タオルを共用したりすることで感染リスクが高くなります。

したがって、プールに行く際は、以下のようなことに気をつけましょう。

  • プールサイドでは、サンダルを履く
  • タオルや洗面用具は、必ず個人のものを使う
  • プールから上がったら、体を十分に拭き、清潔な衣服に着替える
  • 手洗いうがいを徹底する

みずいぼの治療

みずいぼの治療方法は、症状の程度や患者さんの年齢、健康状態などによって異なります。。

経過観察

みずいぼは、自然に治ることもあります。特に、子どもの場合は免疫力が徐々に高まるため、自然治癒する可能性が高いです。したがって、症状が軽度で患者さんが低年齢の場合は、経過観察を選択することもあります。ただし、みずいぼが広がったり、他の人にうつしたりする可能性があるため、定期的な観察が必要です。

ピンセットによる除去

みずいぼの中心部分をピンセットでつまみ、引き抜く方法です。局所麻酔を使用することもあります。比較的簡単な処置ですが、完全に除去できないとみずいぼが再発する可能性があります。また、処置後は一時的に痛みや出血をともなうこともあります。

冷凍凝固療法

冷凍凝固療法とは、液体窒素を使用してみずいぼを凍結させ、細胞を破壊する治療法です。主に皮膚科で行われるこの治療は、ウイルス性のいぼに対して効果的で、繰り返し発生することのあるみずいぼを根本から治療することができます。処置は短時間で終わり、特に数が少ない場合や軽度の症状では一度の治療で効果が期待できることもあります。

治療の流れとしては、患部に液体窒素を直接当てて凍らせます。みずいぼの細胞は凍結されることで壊れ、やがてその部分が水疱(すいほう)になります。この水疱は数日から1週間ほどでかさぶたに変わり、自然に剥がれ落ちます。この過程で新しい健康な皮膚が再生されるため、みずいぼは次第に消えていきます。

冷凍凝固療法は比較的効果の高い治療法とされていますが、治療後には一時的な痛みや腫れが生じることが多くあります。特に液体窒素が冷たいため、施術中や直後に軽い痛みを感じることが一般的です。また、まれに色素沈着が残ったり、瘢痕(はんこん)ができたりすることがありますが、これらの症状は通常数か月で改善することが多いです。必要に応じて局所麻酔を使用する場合もあり、痛みの軽減を図ることが可能です。

治療の効果は個々の患者の症状や体質によって異なり、完全に治癒するまでに数回の治療が必要となる場合もあります。

みずいぼクリームの塗布

みずいぼの治療法の一つとして、銀イオンを含有するクリームや軟膏を患部に塗布する方法があります。銀イオンは抗ウイルス作用を持っており、みずいぼの原因である伝染性軟属腫ウイルスの増殖を抑える効果が期待されています。外科的な処置や痛みを伴う治療に抵抗がある方にとって、比較的負担の少ない選択肢です。

クリームや軟膏の使用は非常に簡単で、患者さん自身でも自宅で継続的に使用することが可能です。特に小さなお子さんや、複数のみずいぼがある場合など、他の治療法に比べて日常生活に大きな影響を与えにくい点がメリットです。クリームは1日に数回塗布することが多く、根気よく継続することで、少しずつ症状が改善していきます。

ただし、この治療法は即効性があるわけではなく、効果が現れるまでに数週間から数ヶ月を要することがあります。みずいぼの状態や患者さんの免疫力によっても効果が異なるため、長期的なケアが必要となる場合もあります。また、クリームの使用に伴い、副作用として炎症や発赤(ほっせき)、かゆみが発生することがあります。特に敏感肌の方やアレルギーを持っている方は、慎重に使用する必要があります。

また、みずいぼクリームの塗布は自費診療となり、保険適用外のため全額自己負担となります。クリームの種類や量によって費用が異なるため、他の治療法と比較して最適な方法を選択することが大切です。

みずいぼの予防と対策

みずいぼは、適切な予防と対策を講じることで、感染リスクを下げることができます。

予防

みずいぼの予防で最も重要なのは、感染経路を断つことです。MCVは、主に直接的な皮膚の接触や、感染者が使用した物品を介して感染します。したがって、以下のような予防策が有効です。

  • 手洗いを頻繁に行う
  • タオルや洗面用具、衣類などを共用しない
  • 入浴後は、体を清潔に保つ
  • みずいぼができている部分を触らない
  • 爪を短く切り、清潔に保つ
  • かゆみを抑えるための内服薬を服用する

また、みずいぼができている部分を衣服やばんそうこうなどで覆うことも、感染拡大を防ぐ上で重要です。特に、みずいぼが手や顔など、露出部分にできている場合は、必ず覆うようにしましょう。

プールでの感染については、塩素消毒の効果により、プールの水を介した感染の可能性は低いとされています。したがって、プールへの入水自体は制限されていませんが、タオルや浮き輪、ビート板などの共用は避けるようにしましょう。

対策

みずいぼが発症してしまった場合は、早めに受診し、適切な治療を受けることが大切です。また、以下のような対策を講じることで、感染拡大を防ぐことができます。

  • みずいぼをひっかいたり、つぶしたりしない
  • 患部を清潔に保ち、乾燥させる
  • 患部を衣服やばんそうこうなどで覆う
  • 手洗いを徹底する
  • 共有物の使用を避ける

特に、みずいぼをひっかいた手で他の部位や共有物に触れると、感染が広がる可能性があります。そのため、患部に触れた後は、必ず手を洗うようにしましょう。

また、乾燥肌やアトピー性皮膚炎など、皮膚のバリア機能が低下している場合は、感染リスクが高くなります。そのような場合は、保湿剤などを使用して、皮膚の状態を整えることも重要です。

Q&A

みずいぼは放っておいても大丈夫ですか?

みずいぼは自然に治ることもありますが、放置すると他の部分に広がる可能性があります。患部が広がっていく場合や数が増えていく場合は、早めに治療を検討しましょう。

みずいぼの子どもは学校や保育園に通うのを避けるた方が良いですか?

基本的には通うことができますが、他の子どもに感染しないよう、患部を覆ったり直接触れ合わないように注意しましょう。

みずいぼは再発することもありますか?

一度治療が成功しても、ウイルスが体内に残ることがあり、再発することがあります。

(監修者情報)

小谷 和弘

日本皮膚科学会 皮膚科専門医

厚生労働省指定 麻酔科標榜医

日本内科学会 認定内科医

皮膚科・小児皮膚科・美容皮膚科・アレルギー科

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