手足口病

当院の手足口病治療の特長

  • ダーモスコピーなどを用いて発疹を正確に診断し、症状の程度に応じた治療方針を立てます。
  • 発疹の各部位毎に、適切な外用薬を使用し、かゆみや違和感の軽減をサポートします。
  • 基本的には自然治癒を待つしかない病気ですが、痛み等の対症療法も行って、患者様の苦痛を軽減します。
  • 必要に応じて、治癒するまでの生活習慣や予防対策についてもアドバイスを行います。

手足口病とは

手足口病は、子どもによく見られる感染症の一つです。特に乳幼児を中心に流行しやすく、保育園や幼稚園などで集団感染が起こることがよくあります。ウイルスによって引き起こされ、主に夏から秋にかけての時期に流行しますが、年中見られることもあります。

手足口病という名前は、主な症状が手のひらや足の裏、口の中にできる発疹や水疱であることから名付けられました。これらの発疹や水疱は痒みや痛みを伴うことがあり、特に口の中にできた水疱が潰れてしまうと、子どもは食事や水分を取るのを嫌がるようになります。その影響で、脱水症状を起こすことがあるため注意が必要です。

手足口病のウイルスは非常に感染力が強く、家庭内での感染拡大も少なくありません。しかし、発症しても軽症で済むことが多く、数日から1週間ほどで自然に治癒することがほとんどです。特別な治療を必要としないことが多いですが、症状が重くなることもあるため、注意して経過観察する必要があります。

手足口病の症状

手足口病にかかった場合、主な症状として小さな発疹や水疱が見られます。これらは特に手のひらや足の裏、そして口の中にできることが多く、感染後3〜6日の潜伏期間を経て現れます。ただし、すべての患者さんに同じように発疹が出るわけではなく、手と足、または口のみに発疹が見られる場合もあります。発疹は赤く小さな水疱状のものが多く、時には肘や膝、お尻にまで広がることがあります。

これらの発疹や水疱は、手足に出る場合はあまり痛みやかゆみを伴わないことが一般的で、自然に治癒します。発疹がかさぶたになることも少なく、通常は1週間ほどで消えていきます。しかし、口の中にできた水疱が潰れてしまうと、びらんを起こし痛みを感じることがあり、特に食事や水分を取る際に辛さを感じる子どもが多くなります。そのため、食欲が落ち、水分摂取が不十分になることで脱水症状を引き起こす可能性があるため、保護者の方は注意が必要です。

また、手足口病では発熱を伴うこともありますが、すべての患者さんに発熱があるわけではなく、発熱があっても37〜38℃台の軽い熱が数日続く程度です。通常、発熱は1〜2日で収まり、長引くことは少ないです。ただし、一部のケースでは下痢や嘔吐、頭痛などの症状が現れることもあります。これらの症状は一時的なもので、特別な治療を必要とすることは少ないですが、重症化しないように経過観察が重要です。

さらに、稀ではありますが、手足口病に感染した後、数週間から数ヶ月の間に手足の爪が自然に剥がれることがあります。これは爪の根元部分に影響が出るためですが、特に治療を必要とすることはなく、自然に回復するため過度な心配は不要です。

手足口病で注意すべき合併症

手足口病は軽症で済むことが多いものの、稀に合併症が生じる場合があります。最も注意が必要な合併症の一つが、脳に炎症を引き起こす「無菌性髄膜炎」です。無菌性髄膜炎は、頭痛、発熱、嘔吐などの症状を伴い、重症化すると意識障害を引き起こす可能性もあるため、特に発熱が続く場合や、激しい頭痛を訴える場合は早急に受診することをおすすめします。

また、手足口病の一部のウイルス株は、まれに心筋炎や脳炎を引き起こすことも報告されています。これらの合併症は非常に稀ではあるものの、突然体調が悪化する可能性があるため、子どもの様子に異常を感じた場合も、すぐに相談することが大切です。

さらに、脱水症状も手足口病の合併症の一つとして注意が必要です。特に口内の水疱が原因で子どもが飲食を拒む場合、脱水状態に陥るリスクが高まります。

手足口病の原因

手足口病はウイルスによって引き起こされる感染症です。主な原因となるのは「コクサッキーウイルス」や「エンテロウイルス」といったウイルスで、非常に感染力が強く、特に乳幼児の間で流行しやすい特徴があります。これらのウイルスは、日常生活の中でさまざまな方法で感染が広がります。子ども同士の触れ合いや、ウイルスが付着した物を通して感染するため、家庭内や学校、保育園などで一気に広がることがあります。

手足口病の感染経路には、飛沫感染、接触感染、糞口感染の3つがあります。

飛沫感染

飛沫感染は、感染した人が咳やくしゃみをした際にウイルスが含まれた飛沫が空気中に放出され、それを他の人が吸い込むことで感染する経路です。

手足口病のウイルスは、患者が咳やくしゃみをする際に口や鼻から飛び出し、それを近くにいる人が吸い込むことで感染が広がります。特に、保育園や幼稚園などで集団生活を送る子どもたちの間では、飛沫感染が起こりやすくなります。

感染予防には、咳やくしゃみをするときに口元を覆うことや、密閉された場所での長時間の接触を避けることが重要です。

接触感染

接触感染は、感染者が触れた物や、感染者自身に直接触れることでウイルスが広がる方法です。

例えば、感染した子どもが手で鼻や口を触り、その手でおもちゃや家具に触れると、そこにウイルスが残ります。そのウイルスに別の子どもや大人が触れ、さらにその手で口や鼻を触ると、感染が成立します。

家庭内や保育施設では、玩具やタオルなどを介してウイルスが広がりやすいため、こまめに手洗いをすることが大切です。また、感染者が使った物を定期的に消毒することも効果的です。

糞口感染

糞口感染は、感染者の便に含まれるウイルスが口に入ることで感染が拡大する経路です。

手足口病のウイルスは、便の中にも排出されるため、おむつ交換の際やトイレの後にしっかり手を洗わないと、便に触れた手を通してウイルスが口に入ってしまうことがあります。特に、乳幼児はまだトイレ習慣が十分に身についていないため、保護者や保育士がこの点に注意を払う必要があります。

おむつ交換後やトイレの後に石けんで手を丁寧に洗うこと、またトイレの周辺や手すりなどを消毒することが大切です。

手足口病の治療

手足口病は、特定の治療法がないことが特徴です。ウイルス感染によって引き起こされる病気ですが、自然に治癒することがほとんどであり、ウイルスに直接効く薬はありません。症状が軽度であれば、特別な治療を行わなくても1週間ほどで回復することが多いです。

したがって、手足口病の治療の基本は、症状を和らげるための対処療法になります。例えば、発熱がある場合には解熱剤を使用し、口の中の痛みが強い場合には痛みを軽減するための鎮痛薬を使うことが一般的です。

また、口の中に水疱ができているため、食事や水分を取ることが困難になることがよくあります。子どもが十分な水分を摂取できるように、アイスクリームやゼリー、冷たい飲み物など、痛みが少なく摂取しやすいものを選ぶようにします。脱水症状を防ぐことは、治療の中でも特に重要なポイントです。

また、手足にできた水疱や発疹は自然に治ることがほとんどですが、かゆみや痛みがある場合は保湿クリームやかゆみ止めを使うことで症状を和らげることができます。ただし、かきむしると症状が悪化したり、二次感染を引き起こす可能性もあります。子どもがかゆみを訴える場合は、爪を短く切っておくことや、肌を清潔に保っておくようにしましょう。

基本的には、家庭でのケアが中心となりますが、手足口病が疑われる場合は、まずは受診して適切な指示を受けることがおすすめです。症状が軽い場合でも、保育園や学校に通う子どもについては、他の子どもたちに感染を広げないよう、完治するまで休養を取るようにしましょう。

手足口病の予防と対策

手足口病は感染力が非常に強い病気で、特に幼稚園や保育園などで集団生活を送る子どもたちの間で広がりやすい傾向があります。しかし、適切な予防と対策を取ることで、感染のリスクを減らすことができます。

まず最も重要なのは、手洗いを徹底することです。手足口病のウイルスは、感染者の唾液や便、さらには触れた物を介して感染するため、こまめな手洗いが有効です。外出から帰ってきた時や、トイレの後、食事の前後には、石けんを使ってしっかりと手を洗う習慣をつけましょう。子どもが集団生活を送る環境では、保護者や保育士もこまめな手洗いを心がけることが大切です。

また、咳やくしゃみをする際は、必ず口や鼻をティッシュなどで覆うようにしましょう。ウイルスが飛沫として周囲に拡散することを防ぐことができます。そして、咳やくしゃみをした後も、手洗いを忘れずに行うことが予防に効果的です。

さらに、子どもが使用するおもちゃや家具など、触れることの多い物の消毒も有効です。ウイルスは物の表面に付着しても数時間から数日間生存することがあるため、定期的に消毒を行い、ウイルスの広がりを防ぎましょう。また、おむつ交換を行う際や、トイレの後はしっかりと手を洗い、周囲の衛生状態を保つようにしましょう。

家庭内で感染が広がらないようにするためには、感染した子どもと他の家族との接触をできる限り避けることも効果的です。特に小さな兄弟姉妹がいる場合は、おもちゃやタオルの共有を避けるようにしましょう。

Q&A

手足口病は大人にも感染しますか?

はい、手足口病は大人にも感染することがありますが、症状は子どもよりも軽いことが多いです。ただし、免疫力が低下している場合は重症化することもあるため注意が必要です。

手足口病にかかったらお風呂に入ってもいいですか?

症状が軽い場合はお風呂に入っても問題ありません。ただし、水疱が破れている場合や高熱がある場合は、無理に入浴せず、医師に相談してください。

手足口病は予防接種で防げますか?

現時点では手足口病の予防接種はありません。感染を防ぐためには、手洗いや消毒、集団感染のリスクを避けることが重要です。

手足口病にかかったらどれくらい学校や保育園を休むべきですか?

発疹が完全に治り、感染のリスクがなくなるまで休養することが推奨されます。通常、症状が治まるまでに1週間程度かかることが多いです。

(参考文献)

日本皮膚科学会「尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン 2023」

日本皮膚科学会 皮膚科Q&A にきび

(監修者情報)

小谷 和弘

日本皮膚科学会 皮膚科専門医

厚生労働省指定 麻酔科標榜医

日本内科学会 認定内科医

皮膚科・小児皮膚科・美容皮膚科・アレルギー科

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