薬アレルギー(薬疹)

薬アレルギー(薬疹)とは

薬アレルギー(薬疹)は、薬物の使用により体内で免疫反応が引き起こされ、皮膚に症状が現れる状態です。体が薬剤を異物として認識し、免疫システムが過剰反応を起こすことで、発疹やかゆみ、時には深刻な炎症を引き起こします。薬疹は薬を使用してすぐに現れることもあれば、数日経ってから発症することもあります。

原因となる薬剤には、鎮痛剤(イブプロフェン、アセトアミノフェンなど)や、去痰剤(カルボシステインなど)、ニューキノロン系の抗菌薬(クラビット、ジェニナックなど)などがあります。

薬アレルギー(薬疹)の症状

薬疹の症状は多岐にわたり、軽微なものから生命を脅かす重症までさまざまです。主な症状には発疹、赤み、かゆみがありますが、重症の場合は全身の炎症や臓器の障害を伴うことがあります。

薬アレルギー(薬疹)の種類

薬疹には複数の種類があり、それぞれに異なる症状と特徴があります。

播種性紅斑丘疹型

体の広範囲に拡がる小さな赤い丘疹が特徴です。薬剤を服用してから数日以内に発症することが多く、かゆみを伴います。体幹部に多く見られますが、四肢に生じることもあります。

水疱型・蕁麻疹型

皮膚に水疱が形成される水疱型と、かゆみを伴う赤く盛り上がった発疹が現れる蕁麻疹型の2つのタイプがあります。どちらも急性に発症することが一般的です。水疱型はより深刻な場合が多く、放置すると皮膚の剥離が起こることがあります。

扁平苔癬型

紫色または赤褐色の扁平な丘疹が特徴で、しばしば腕や脚に現れます。強いかゆみを伴い、薬の中断後も色素沈着が残ることがあります。

固定薬疹型

同じ薬を服用するたびに同じ場所に発疹が現れます。発疹は中央が暗紫色になり、薬の摂取を中止した後に治癒しても、茶色の色素沈着が残ることがあります。

光線過敏型

薬剤の摂取後に、日光に当たった皮膚に発疹が出るタイプです。特に顔や首、手の甲などが影響を受けやすく、皮膚が赤く腫れ上がることがあります。

ざ瘡型

薬剤を服用した後にニキビに似た発疹が現れる症状です。特に顔や背中に小さな赤い丘疹や膿疱ができます。皮膚の炎症が強くなると、膿疱を形成することもあります。

粘膜型

口や性器などの粘膜部分に発疹や潰瘍が生じ、痛みや不快感を伴います。粘膜の潰瘍は非常に痛みを伴うことがあり、食事や日常生活に支障をきたす場合もあります。

重篤な薬アレルギー(薬疹)の種類

一部の薬疹は非常に重症化し、命に関わる可能性があります。下記はその中でも、特に注意が必要なものです。

中毒性表皮壊死症

全身の皮膚が大規模に剥がれ落ちる重症状態です。広範囲の水疱や皮膚剥離が見られ、粘膜にも重篤な障害を引き起こすことがあります。

スティーブンス・ジョンソン症候群

主に皮膚と粘膜に重篤な炎症を引き起こす症候群です。目、口、性器の粘膜が影響を受け、皮膚の剥離が進行することがあります。早期の治療が必要です。

薬剤性過敏症症候群

発熱や臓器障害を伴う全身性の過敏症反応です。薬を中止しても症状が続くことがあり、時には命に関わることもあります。

急性汎発性発疹性膿疱症

急速に発症し、全身に膿疱が広がる重症型の薬疹です。発熱や白血球の増加も伴い、入院治療が必要となることが多いです。

薬アレルギー(薬疹)の検査

薬疹の診断では、さまざまな検査が行われます。薬剤が原因か否か、どの薬剤がアレルギー反応を引き起こしているかを判断します。

プリックテスト

プリックテストは、即時型アレルギー反応の診断に使用されます。アレルギーが疑われる薬剤を皮膚の表面に少量滴下し、その上から針で軽く刺激を与えることで皮膚内に薬剤を微量導入して、反応を観察します。特に蕁麻疹型薬疹の診断に有効です。テスト後に腫れや赤みが生じれば、薬剤に対してアレルギー反応があると判断できます。

薬剤誘発性リンパ球刺激試験(DLST)

DLSTは、遅延型の薬疹を診断するための検査です。患者様の抹消血液からリンパ球を分離し、アレルギーが疑われる薬剤と共に培養して、数日後にリンパ球の反応を観察します。通常の薬疹の診断に有効な検査方法です。

皮疹部へのパッチテスト

固定薬疹型の診断に用いられる検査です。疑わしい薬剤を特殊なパッチに塗布し、それを背中などの皮膚に貼り付け、一定時間後に皮膚の反応を確認します。赤み、腫れ、水疱などの局所的な反応が見られた場合、その薬剤に対するアレルギーがあると診断されます。

薬アレルギー(薬疹)の治療

薬疹の治療では、まず原因となる薬剤を特定し、その使用を中止することが基本となります。症状の重さや進行度に応じて、次のような治療が行われます。

原因薬剤の特定と中止

まず最初に行うべきは、症状を引き起こしている可能性のある薬剤を特定し、直ちに使用を中止することです。

薬物療法

かゆみや炎症などの症状に応じて、薬物療法を行います。重症の場合は入院治療をおすすめする場合もあります(適切な大学病院や総合病院を紹介します)。

抗ヒスタミン薬

かゆみや軽度の発疹に対する第一選択薬です。アレルギー反応を抑えることで、症状を軽減します。

ステロイド薬

発疹の炎症がひどい場合には、ステロイドの外用薬や経口薬が使用されます。特に中等度から重度の薬疹に効果的です。

免疫抑制薬

重症な薬疹、特にスティーブンス・ジョンソン症候群や中毒性表皮壊死症などでは、免疫抑制薬や免疫グロブリン療法が用いられることがあります。

入院治療

重症の場合は全身管理が必要となるため、入院による治療が推奨されます。特に中毒性表皮壊死症や急性汎発性発疹性膿疱症の場合は集中治療が行われます。当院では入院治療に対応していませんが、適切な大学病院や総合病院を紹介します。

(参考文献)
(監修者情報)

小谷 和弘

日本皮膚科学会 皮膚科専門医

厚生労働省指定 麻酔科標榜医

日本内科学会 認定内科医

皮膚科・小児皮膚科・美容皮膚科・アレルギー科

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