アレルギー性結膜炎

アレルギー性結膜炎とは

アレルギー性結膜炎は、目の結膜が花粉やハウスダスト、動物の毛など、アレルギーの原因物質(アレルゲン)に反応して炎症を起こす疾患です。結膜は、目の白目部分とまぶたの内側を覆う薄い膜で、この部分がアレルギー反応により腫れたり、充血したりします。

日本では春や秋にスギやヒノキの花粉が原因となる季節性アレルギー性結膜炎が多くみられますが、年中続く通年性のものもあります。

アレルギー性結膜炎の症状

アレルギー性結膜炎の症状には下記のようなものがあります。

目が赤い(充血、結膜下出血)

アレルギー性結膜炎になると、結膜の血管が拡張するため、目が赤く充血します。重症の場合は結膜下の小さな血管が破れて出血し、白目が赤くなることもあります。

目がかゆい(掻痒感)

アレルギー性結膜炎の症状のなかで特徴的なものは、強いかゆみです。花粉やハウスダストが原因となることが多く、かゆみのために目をこすることによって、さらに症状が悪化する場合があります。

目がゴロゴロする(異物感)

アレルギー性結膜炎にかかると、目に異物が入ったようなゴロゴロした感じがする場合があります。結膜が炎症を起こして腫れてしまい、異物感を感じやすくなるためです。

目やにが出る(眼脂)

アレルギー性結膜炎では、結膜が炎症を起こすことで分泌される涙液や粘液が増加するため、目やにが増えるケースがあります。目やには通常、透明か白っぽい色をしています。

白目がぶよぶよになる(結膜腫脹)

アレルギー性結膜炎が重症化した場合、白目部分の結膜がぶよぶよと膨らむことがあります。この状態を結膜腫脹(けつまくしゅちょう)と呼び、炎症によって結膜内に液体がたまり、目全体が腫れたようにみえます。通常は一時的な症状で治まりますが、放置すると症状が悪化してしまう場合があります。

アレルギー性結膜炎の種類

アレルギー性結膜炎には複数の種類があり、それぞれ原因や症状の特徴が異なります。

季節性アレルギー性結膜炎

季節性アレルギー性結膜炎は、特定の季節にアレルゲンが飛散することで発症します。最も一般的な原因は花粉(スギ、ヒノキ、ブタクサなど)で、春や秋にかけて発症します。鼻の症状(くしゃみ、鼻水)と一緒に発症することが多いです。

通年性アレルギー性結膜炎

通年性アレルギー性結膜炎は、季節に関係なく一年中症状が続くタイプです。主な原因はハウスダスト、ダニ、カビ、ペットの毛などで、これらが日常生活の中で常に存在しているため、症状が慢性的に続きます。季節性アレルギー性結膜炎に比べて症状が軽い場合が多いですが、長期間にわたって不快感は続きます。

アトピー性角結膜炎

アトピー性皮膚炎を持つ方がなることが多いアレルギー性結膜炎の一種で、慢性的に炎症が続くのが特徴です。皮膚のかゆみとともに、目のかゆみや充血、目やにが多くみられます。長期間の炎症によって角膜にも影響が及ぶことがあり、視力低下のリスクを伴います。

春季カタル

春季カタルは、主に思春期の男児に多く見られる慢性のアレルギー性結膜炎です。春から初夏にかけて症状が悪化し、強いかゆみや目の異物感、白目が膨らむ結膜腫脹などの症状が特徴的です。重症の場合は、角膜に潰瘍ができて、視力に悪影響を及ぼすこともあります。

巨大乳頭結膜炎

主にコンタクトレンズの装用者にみられる結膜炎の一種で、まぶたの内側に大きな乳頭状の突起ができることからこの名前が付けられました。主な症状は異物感やかゆみです。コンタクトレンズは適切な使用時間を守って着けるようにしましょう。

アレルギー性結膜炎の原因

アレルギー性結膜炎は、アレルゲンが目の結膜に接触することで免疫システムが過剰に反応し、炎症を引き起こすことで発生します。主なアレルギー性結膜炎のアレルゲンには、次のようなものがあります。

花粉

季節性のアレルギー性結膜炎の主な原因であり、スギ、ヒノキ、ブタクサなどが代表的です。

ハウスダスト

ハウスダストには、ダニの死骸や排泄物が含まれており、通年性アレルギー性結膜炎の原因になります。

動物の毛やフケ

ペットの犬、猫の毛やフケがアレルゲンになることがあります。

カビ

湿気の多い環境に生息するカビが原因となって、アレルギー性結膜炎を発症する場合があります。

コンタクトレンズ

コンタクトレンズの長期装用や不適切なケアが原因で、巨大乳頭結膜炎になることがあります。

アレルギー性結膜炎の治療

アレルギー性結膜炎の治療では、アレルゲンの特定と回避が重要ですが、避けきれない場合は症状を抑えるための薬物療法を行います。

抗アレルギー点眼薬

抗アレルギー点眼薬は、アレルギー反応を起こすヒスタミンの作用を抑える薬です。かゆみや充血、目の異物感を軽減するために用いられ、アレルギー症状が軽度な場合はこれだけでも十分に効果を発揮します。シーズン前に予防的に使用することで、症状の発生を抑えることもできます。

ステロイド点眼薬

アレルギー性結膜炎の症状が重い場合は、治療にステロイド点眼薬を使用する場合があります。ステロイドは強力な抗炎症作用を持ち、炎症を速やかに改善させることができますが、長期間使用すると副作用が現れる可能性があるため、医師の指導のもとで適切に使用するようにしましょう。

(参考文献)

日本眼科学会「アレルギー性結膜疾患診療ガイドライン(第3版)」

(監修者情報)

小谷 和弘

日本皮膚科学会 皮膚科専門医

厚生労働省指定 麻酔科標榜医

日本内科学会 認定内科医

皮膚科・小児皮膚科・美容皮膚科・アレルギー科

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