円形脱毛症

当院の円形脱毛症治療の特長

  • 初回の受診時に適宜血液検査を実施し、脱毛症の原因となる基礎疾患がないか確認し、根本原因の特定に努めています。
  • ダーモスコピーを使い、毛根の状態を観察しながら治療を進めることで、脱毛の進行度や毛根の健康状態を把握しています。
  • 当院ではエキシマレーザーを用いて、炎症を抑えながら毛包の回復を促進し、発毛させる治療を行っています。
  • 一人ひとりの症状に応じて、エキシマレーザー治療を含む複数の治療法を組み合わせ、最適な治療プランを作成します。
  • 治療の進捗状況を定期的に確認しながら、治療方針を見直し、患者様とのコミュニケーションを大切にしています。

円形脱毛症とは

円形脱毛症とは、円形や楕円形に髪の毛が抜けてしまう疾患です。徐々に進行していく薄毛とは違い、突然、髪の毛が抜けてしまうことが特徴です。脱毛した部位に先が太くて根元が細い毛(感嘆符毛)や黒い点々が見られる場合があります。免疫機能が毛包を誤って標的にしてしまう自己免疫疾患が原因と考えられています。免疫機能による攻撃が抑えられれば、元通りの髪の毛が生えてきます。

自然に治ることも多いですが、脱毛箇所が気になってストレスを抱えてしまい、症状を悪化させてしまうこともあります。重症化すると頭皮だけでなく眉毛やまつ毛、体毛と全身に症状が広がる場合があり、再発を繰り返して治療が長期化するなど完治が難しくなるため、気になる症状がある際は早めにご相談ください。

円形脱毛症の症状

円形脱毛症の症状は、突然髪の毛が円形や楕円形に抜けてしまうことです。脱毛部では完全に髪の毛が無くなります。かゆみや痛みなどの自覚症状がほとんどないため、いつの間にか脱毛箇所が発生していることもあります。年齢や性別に関わらず発症する可能性があり、毛の抜け方や範囲はさまざまです。

円形脱毛症の種類

円形脱毛症は、症状によって下記のように分類されています。

単発型

円形脱毛症の中で最も多くみられるタイプです。突然、円形または楕円形の脱毛斑が発生します。頭部に生じることがほとんどです。約80%が発症後数ヵ月~1年で自然治癒し、気づかない間に治ることもありますが、放置すると多発型に移行する場合もあるため注意が必要です。

多発型

円形の脱毛斑が複数箇所に生じるタイプです。再発を繰り返す場合があり、完治までに半年~2年ほどかかることもあります。複数の脱毛斑がつながり、脱毛範囲が拡大してしまうこと(多発融合型)があります。

蛇行型

後頭部から側頭部に沿って、髪の毛の生え際が帯状に脱毛するタイプです。大半が単発型からの移行によるもので、蛇行するように脱毛範囲が広がります。治療に数年かかる場合があります。

全頭型

多発型、多発融合型から移行する症状で、頭部全体の髪の毛が抜け落ちます。症状が重いため、長期にわたる治療が必要になることが多いです。

汎発型

頭髪だけでなく、眉毛やヒゲ、すね毛など、全身の毛が抜け落ちます。最も症状が重いタイプで、全頭型と同様に治療に長い期間がかかります。

円形脱毛症の原因

円形脱毛症の明確な原因はわかっていませんが、近年では髪の毛の毛根組織に対して免疫機能の異常が生じる「自己免疫疾患」が関与していると考えられています。それも含めて、下記のような原因が挙げられます。

自己免疫疾患

体外からの異物を攻撃して身体を守ってくれる免疫機能に何らかの原因で異常が起こると、正常な組織や細胞に対して過剰に反応して攻撃するようになります。円形脱毛症はこの自己免疫疾患によって、免疫機能が毛包を異物と間違えて攻撃して、壊してしまうことで発症するといわれています。

アトピー素因

アトピー素因とは、アトピー性皮膚炎やぜんそく、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎などのアトピー性疾患を起こしやすい体質のことをいいます。円形脱毛症との関連は明らかになっていませんが、円形脱毛症の患者さんの40%がアトピー素因を持っているといわれており、半数以上が本人もしくは家族にアトピー素因が認められるため、深い関係があるとされています。

遺伝的要因

円形脱毛症は、20%ほどの患者さんにおいて、家族内発生(血縁の家族にも円形脱毛症がある)があるとされています。そのため、明確に関連性は解明されていませんが、円形脱毛症に遺伝的要因が関係する可能性が高いといわれています。

出産後の女性ホルモンの減少

女性ホルモンは発毛に関係しており、減少すると抜け毛につながります。特に注意が必要なのが出産後で、妊娠中は女性ホルモン値が通常の100倍以上に増加していますが、出産すると一気に減少して通常の値に戻ります。そのため、出産から3~4ヵ月後に抜け毛が多くなり、髪の毛全体のボリュームが減る産後脱毛がみられます。そのときにアトピー素因がある場合などは円形脱毛症になることがあります。

精神的ストレス

精神的ストレスが脱毛を引き起こすことはありますが、円形脱毛症の患者さんの大半は精神的ストレスがなくても発症しています。そのため現在では、円形脱毛症と精神的ストレスとの直接の関連性については科学的根拠が乏しいといわれています。

円形脱毛症の治療

ほとんどの円形脱毛症は、適切に治療を行うことで改善していきます。しかし症状が悪化すると治療が難しくなり、治療期間が長期化することもあるため、早めに治療を開始することが大切です。当院では、日本皮膚科学会の「円形脱毛症診療ガイドライン」に基づき、下記のような治療を実施しています。

外用薬

外用薬は効果が弱いものの、副作用がほとんどないため、軽症から重症まで幅広く用いられます。重症の場合は他の治療法と併用することが一般的です。円形脱毛症の外用薬には下記のようなものがあります。

ステロイド

円形脱毛症の患者さんの頭皮では、毛包のまわりに炎症細胞が集まっているため、炎症を抑制する作用があるステロイドが有効といわれています。同じ部位に長い期間塗り続けると、皮膚が薄くなったり毛細血管が拡張したりする副作用が起こる場合があります。

カルプロニウム塩化物

カルプロニウム塩化物には、頭皮の血流を改善して育毛を促す作用があります。1日に2~3回、脱毛斑に塗布します。副作用がほとんどないため、治癒した後も予防的に外用を続けることができます。

内服薬

円形脱毛症の治療で用いられる内服薬には、次のようなものが挙げられます。

抗アレルギー薬・
抗ヒスタミン薬

抗アレルギー薬・抗ヒスタミン薬は、単発型や多発型の円形脱毛症の場合に、他の治療と併用することで効果を発揮します。アトピー性皮膚炎などを合併している円形脱毛症では、より早期に改善がみられることが報告されています。

ステロイド内服

ステロイドの内服薬には、炎症や免疫機能を抑制する効果があり、発毛を促進する作用もあることが明らかになっていますが、肥満や糖尿病、骨粗しょう症、ニキビなどの様々な副作用が生じる場合があります。また、服用をやめた後に症状が再発する可能性があります。そのため、脱毛が広範囲かつ急速に進んでいる成人の患者さんに限定して使用されています。

JAK阻害薬

JAK阻害薬は、細胞内で炎症の信号を伝達する経路をブロックすることで、円形脱毛症の症状を改善する効果を発揮します。元々アトピー性皮膚炎や関節リウマチの治療で使われていたオルミエントという内服薬が、2022年6月から円形脱毛症にも保険適用されました。他の治療方法で症状をコントロールできない場合に効果が期待できる薬ですが、価格が高く、服用するために血液検査や胸部X線検査などが必要になるのが難点です。

その他の内服薬

円形脱毛症の治療では、グリチロンとセファランチンが使用されます。現段階では十分に効果が実証されていませんが、副作用が少ないため選択されることが多い薬です。

光線療法(紫外線療法)

さまざまな皮膚疾患に効果がある光線療法ですが、最近では円形脱毛症にも有効であることが報告されています。1~2週間に1回の通院が必要になりますが、副作用がほとんどないというメリットがあります。

ナローバンドUVB

ナローバンドUVBは、紫外線の中でも皮膚疾患に効果が認められている311~313ナノメートルの波長だけを照射することで、過剰に反応している免疫機能を抑制します。アトピー素因があって円形脱毛症を伴う患者さんに特に効果があるといわれています。円形脱毛症も保険治療の適応となっており、効果を発揮するためには週1~2回の照射が必要とされています。当院では、全身型ナローバンドUVB照射器を導入しています。

ナローバンドUVBについて

エキシマライト

ナローバンドUVBが311~313ナノメートルの波長の紫外線を照射するのに対して、エキシマライトはより治療効果が高い308ナノメートルの紫外線のみを患部に向けてピンポイントかつ強力に照射することで、患部だけを安全かつ効果的に治療できます。円形脱毛症にも保険適用される治療方法です。

当院ではそのエキシマライトの進化版で、輝度を約55万倍に高め、照射時間を3秒から0.5秒に短縮したエキシマレーザーを照射できる「XTRAC」を完備しています。エキシマライトと比較して、照射面積が小さいため無駄な照射がなく、余分な波長がないため色素沈着や紅斑反応を抑制することができます。エキシマレーザーは、円形脱毛症に対して保険が適用されます。

エキシマレーザーについて

局所処置

円形脱毛症に用いられる局所処置には、下記のようなものがあります。

SADBE療法(局所免疫療法)

かぶれを引き起こす化学試薬を塗る円形脱毛症の治療法です。かぶれによって起きるさまざまな反応が毛に対する自己免疫機能を抑制し、発毛を促すと考えられています。比較的広範囲に脱毛している症例に対して実施され、子どもにも使用することができます。円形脱毛症の約90%の患者さんに有効であるといわれていますが、保険が効かないため自費診療になります。

ステロイド局所注射

免疫機能や炎症を抑制する効果のあるステロイドを、脱毛箇所に注射で注入する治療方法です。高い発毛効果がありますが、ステロイドにはさまざまな副作用があるため、子どもに対しては実施しません。発毛が認められるまで、2週間~1ヵ月の間隔で治療を継続します。

液体窒素療法

液体窒素によって脱毛部分を冷凍凝固させ、免疫細胞の働きを抑えることで毛の再生を図る治療方法です。ある程度の効果が期待できますが、治療の際に軽い痛みがあります。

ステロイドパルス療法

成人の発症後6ヵ月以内で、重症かつ急速に進行する円形脱毛症に対して行う治療です。3日間ほどの短い期間に、点滴でステロイドを大量に投与するため入院が必要になります。当院では、重症の場合にはご相談のうえ、適切な治療を行うことが可能な大学病院へご紹介しています。


(参考文献)

日本皮膚科学会「円形脱毛症診療ガイドライン 2017年版」

円形脱毛症と鑑別疾患の見分け方

(監修者情報)

小谷 和弘

日本皮膚科学会 皮膚科専門医

厚生労働省指定 麻酔科標榜医

日本内科学会 認定内科医

皮膚科・小児皮膚科・美容皮膚科・アレルギー科

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